異世界のアフレクションネクロマンサー306
「先生!!」
『君と出会えて、本当に良かった』
それは別れの会話。
白銀のドラゴンとしてでなく、太陽のように輝くドラゴンからでもなければ、清流のように美しいドラゴンからでもなく、
「本当なら、君に一緒に来て貰って、この世界でのように私を支えて欲しいと願うけど……」
「だったら、何も構う事はありません!!私も連れて逝って下さい!!」
先生の言葉。
先生が、私と別れる前に想いを遺そうとしてくれている。
だが、どれだけ優しい言葉を掛けられて、どれだけ慰められたとしても、
「先生が…先生が!!私を置いて逝くと言うのなら、私は自害してでも追い掛けます!!」
この世界に、残りたい等と思わない。
この命を断ち切る事で、先生の後を追える保証は無いが、それでも、ただ惰性的に生きるよりは可能性は充分にある。
先生を困らせたい訳では無い、それが心の底から言える本心。
それに、白銀のドラゴンとなった先生に対して、言葉を繕った所で、心を見透かれてしまうに決まっている。
ならば、本心を包み隠さずに言ってしまって構わない。
我慢を知らない子供に戻って、泣き叫びながら、先生の心に訴え掛けて、自分の流す涙を優しくすくって貰い、優しく抱きしめて、あやして欲しいと願うが、
『……なんで、私がこの世界で生きられた分かるかい?』
「それは、先生が素晴らし方で!!生きる為の力があったから!!」
『それは違うよ。私が生きられたのは、君が助けてくれて、私の運命に繋がってくれたからだよ』
先生がしてくれる「優しく」は語り掛ける事であった。
『人は1人では生きられない。あの日、もしも君のいない他の所にいたら、私は化け物として殺されていたかもしれない。もし1人でいたら、食事もまともに出来ずに死んでいたかもしれない』
「そんな事は!!」
「そんな事はありません!!先生なら、御1人でも生きていけました」と言いたかったが、
『そんな、寂しい事を思わないで。だって、君の思っている通りなら、私は1人ぼっちでいて良い人間になってしまうじゃないか』
「あっ……」
先生からの諭される言葉に、泣き叫んでいた声が詰まる。




