異世界のアフレクションネクロマンサー304
『ルーツは異世界にあるとしても、お前達の命の輝き、運命では壁を越えるのは難しい』
感情的なドラゴンは、黄金の肉体の中にある秘石を赤く燃えあがらせると、世界を照らし出す太陽のように輝き始め、
『……あなたを一時とは言え、運命に巻き込んだ事を謝るのと、運命の人を保護してくれた事に礼を言います』
理性的なドラゴンが、体の中の秘石を輝かせると、穢れ無き清流のように黄金の体が青白く輝く。
太陽のように赤く輝くドラゴンと、清流のように青白く輝くドラゴンが、回りながら軌道を描くと、赤と青の螺旋が生まれる。
美しい虹のように、空に色を描く螺旋。
それは、異世界へと繋ぐ道だというのを感じ取れたのだが、
「命の螺旋……」
なぜかそこで「命」というイメージも湧いた。
「欠片となって……」
この螺旋は道だけでなく、次の世代に繋げる欠片。
『ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!!!!』
太陽のように赤く輝くドラゴンと、清流のように青白く輝くドラゴンが創り出した、命の螺旋の中に先生の飛行機が入り込むと、先生の飛行機が白銀に光り輝く。
赤く輝き、青白く輝きながら命の螺旋が天空へと道を創り、白銀の光が流星のように駆け抜ける。
運命が変わる。
元あった運命、本来辿るはずだった運命を越える。
空から地上へと流れて落ちるのが運命の流星が、運命を変えて、落ちた地上から天へと還る。
「追い付けない……!!」
水圧ペダルに手を伸ばし、壊れる程にグルグルと回して水圧を上げ、床が抜ける程にペダルを踏み来むが……
「追い付けない……!!」
これが、私と先生の飛行機の違い。
先生が言っていた。
先生の飛行機には戦う力があると。
先生の飛行機には大切な人を守り、大切な場所を守り、大切な思い出を守る力があると、それ故に、その力を悪用しない誇り高き心が必要だと。
「これが飛行機と戦闘機の差なのか!!」
先生はこの世界では、争う事は無いだろうと、その名を封印していたが、黄金のドラゴン達の願いに応えて、再び誇り高き戦士としての「戦闘機」という名を取り戻したのだ。




