異世界のアフレクションネクロマンサー303
命を投げ出し、生贄となって、運命を切り開……
「勝手に話を進めるな!!」
先生を、この世界に連れて来たのが理性的なドラゴンだったとしても、先生を生贄にするのは許せない。
先生がこの世界に来てから、側にずっといたのは私。
先生の笑顔を見て、先生の驚いた顔を見て、先生の思いにふける顔を見て……先生の色んな表情を見て来て……
「お前は…お前は……神のつもりなのか!!」
そこで初めて、ドラゴンの事を神の遣いでは無く、神のマネをしているだけの存在として恨む。
「酷いじゃないか!!人を巡り合わせておいて、必要となれば奪い去る!!」
出会わせて引き裂く……そんな残酷な事をするのが許せない。
空へと上がって行く先生に何とか追い付こうとするが、先生は振り返る事無く、私を置いていくようにグングンと天空へと登っていく。
『さぁ行くか…どういう結果になっても恨みっこは無しだ』
感情的なドラゴンは、理性的なドラゴンに目配せをして天空を見上げると、二体の黄金のドラゴンが天空へと羽ばたいていく。
先生の飛行機に勝るとも劣らない速さ。
信じられない程の速さで、空へと登っていくと、
『『『『ギャァァアァァァアァァ!!!!』』』』
感情的なドラゴンを、護るように飛んでいたドラゴン達が悲痛な叫び声を上げる。
その時になって分かった。
何で最初のドラゴンが村を襲い、次のドラゴン達が理性的なドラゴンを襲ったのか。
それは彼等もまた、感情的なドラゴンにこの世界に留まって欲しかったからだ。
どちらか一方を阻止すれば、感情的なドラゴンが思い留まって、この世界に残ると、考えを改めてくれると思ったのだろう。
ドラゴン達と、感情的なドラゴンにどんな絆があるのかは推し量る事は出来ないが、
『ギャッ!!』
『ギュゥ!!』
何とか、先生の飛行機を堕として、感情的なドラゴンが向こうの世界に行こうとするのを阻止しようとする。
圧倒的な力の差がありながらも、これが最後のチャンスだと言わんばかりに、その身を投げ捨てて逝くのだが、
『もうやめるんだ……お前達はお前達の力で、この世界の一部として生きるんだ』
感情的なドラゴンは、彼等の懸命な行いを止めるように言う。




