異世界のアフレクションネクロマンサー300
『嘘等では無いのは、この世界に私が関与していないのが何よりの証拠であろう?私が本気を出せば、すぐにでもこの世界はドラゴンの楽園になる』
『自分の使命を捨てた罪悪感から逃れる為であろう!!自分が手を下さなくても、この未熟な世界でなら、我々という種が頂点を取ると分かっているから手を出さない!!』
理性的なドラゴンの強い口調に、感情的なドラゴンは目を細め、
『そうだ、私は手を出さない。貴様が、この世界に連れて来た者が創り出した、ドラゴンに対抗しうる力に。そして、私は貴様を赦す。異世界の力で進化の針を進めた事を』
飛行機に乗っている、私の方を指さす。
『…………』
理性的なドラゴンは、そこで口を閉じ、指さされた私の方を見るのだが、
「うっ……」
その目は笑っていない、優しさも無い、害虫を見るような冷たい目。
私の事など気にも留めない素振りをしていたが、それはフリをしていただけ、本当は気付いていたのだ。
この世界に産まれてしまった、本来ならいないはずの存在。
それは、理性的なドラゴンにとっての罪の象徴。
咎める事無く、お目こぼししていたのは、感情的なドラゴンに対して言った「罪悪感」から逃れる為だったのだろうが、
『コォォ……』
自分がしでかした罪悪感と向き合った事で、理性的なドラゴンは、私を赦してはいけないと、罪を償おうと、ドラゴンすらも消滅させる力を溜めようとしたが、
『止めるんだ。私は赦すと言ったはずだ。彼には罪は無い、ただ運命に巻き込まれただけ。巻き込まれただけの、罪無き者を裁く事こそ傲慢だろ』
この世界で、ドラゴンが繁栄することを望んでいるはずの、感情的なドラゴンが、私の事を庇ってくれる。




