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アフレクションネクロマンサー 序章  作者: 歩道 進
異世界のアフレクションネクロマンサー
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異世界のアフレクションネクロマンサー296

胸が暴発したドラゴンは、長い首を垂れげて、ワイン樽の底が抜けたかのように

、口からドバドバと血を垂れ流す。


もう生きていない、瞬く間に死んだ。


瞬く間に絶命したドラゴンから、巻き付けていた翼を放すと、ドラゴンは熟れた果実のように地上へと落ちていく。


手も足も首も翼も何一つ動かさずに、他の二体のドラゴンと同じように落下していく。


結局、牙も爪も届かず、黄金のドラゴンには一矢報いる事も、仇討ちも出来なかった。


あまりにも実力が……存在自体が違い過ぎた。


黄金のドラゴンの雷はただの雷では無い、ドラゴンの秘石に過剰反応させて殺す力。


(ドラゴンを殺すドラゴンスレイヤー……それがどうして、同じ種族であるはずの黄金のドラゴンが……)


特別な力を自分達の種の為に使うのではなく、殺す為に使う黄金のドラゴン。


そこに一体何の目的が、その行いに何の価値があるのかといぶかしがると、


『この愚か者が!!』


コクピットのホルダーに固定してあった翻訳機に、文字が浮かぶ。


「なんだ…これは?」


翻訳機に浮かんだ言葉、言葉の意味は分かる。


相手に対して侮蔑する言葉。


知見のたりない、学の無い者だと罵る言葉。


この言葉自体の意味は分かるが、


「誰がこの言葉を?」


この言葉を言ったのは、一体誰なのか?


翻訳機が、誰かの言葉に反応して翻訳したのだから、この言葉を言った誰かがいないといけないのだが、このコクピットの中には自分しかいない……ならば、このすぐ近くにいるのは、


「黄金のドラゴン?」


黄金のドラゴンだけ。


黄金のドラゴンが言葉を投げ返たのかと視線を向けるが、黄金のドラゴンはこっちを見ていない。


こちらには興味を示さない黄金のドラゴンが自分に言葉を掛けたとは考えにくかったが、


「……他にいる?」


黄金のドラゴンの目が、空を睨んでいるの見て、他の何かがいるという発想は簡単に出来た。


圧倒的な力を持つ黄金のドラゴンが、睨み付ける相手が空にいるのかと、脳裏を過った瞬間、


『ゴォゴォゴォゴォゴォゴォゴォ!!!!!!』


「熱っ!?」


空が震えて、コクピットの中が熱せられる。

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