異世界のアフレクションネクロマンサー287
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「準備は良いですか!?」
先生との一件を終えてから、朝を迎える。
今はもう、あの鋼鉄の飛行機のコクピットにはいないが、今はもう、この木製の飛行機のコクピットの中にいる。
初の操縦に、操縦桿を握る手が固くなり、腕が足が張って緊張している。
リラックスしなければと思えば思う程、自分が緊張している事を認識してしまって……未知なる体験、みんなからの希望、それらが重圧となって……心臓がバクバクとする……が、心臓はバクバクしながら重圧を跳ね返そうとしている。
『君はやっぱりパイロットになる運命なんだね。パイロット候補生の中には、緊張からの震えが怯えになって乗れなくなってしまう者すらいる。なのに、君はパイロット候補生でも無かったのに、ここにいる』
「先生……」
私は飛行機のコクピットの中にいながら、先生の膝の上に座っている。
文字通り、手取り足取りで、この飛行機の実践訓練をする為であり
『さぁ、飛行機に命を吹き込んで』
この飛行機に、パートナーとなる私を覚えさせる為。
先生は、操縦桿を握る私の手を取って、コクピット横の水圧レバーを握らせると回すように促し、
「……はい」
促された私は、手に意識を持ってくと水圧レバーを回すと、
『カルカルカルカルカルカルカル』
飛行機に命が宿る。
(そうか…だからか……)
あの時、エンジンがここに届いた時、エンジンの試運転を先生がするのではなく、私にさせたのは万が一にでも、パートナーを勘違いさせない為。
『さぁ、みんなに発進すると言って』
先生は裏方に徹しながら、優しく私の足の甲を押してペダルを踏むと、
『カルカルカルカルンカルンカルンカルン』
エンジンの出力が上がる。
出力の上がったエンジンを聞いて、水圧レバーから手を離し、自らの意志で操縦桿を握る。
「……これより、発着場に向かいます!!」
飛行機の操作方法は分かっている、先生と一緒に造ったのだ、頭の中に叩き込んである。
自らの意志で、エンジンの出力を上げると、プロペラの回転数が上がって、飛行機が前に進み出す。
暗い納屋から、朝日が入り込む入口の方へと進みだす飛行機。
納屋の外には、いつも見ている景色が外に広がっているだけ、さっきだって、この納屋に入る時に外の景色を見ているのに、
「これが…飛行機からの景色……」
外に広がっていたのは、いつもと違う景色だった。




