異世界のアフレクションネクロマンサー282
そこからの数日間は、もの凄い勢いであった。
日が昇る朝から、日が落ちる日没まで、夜になって獣に襲われる危険性が出るまでは手を止めずに作業をする。
一本の切り株に四人で取り囲み、四方からスコップを突き刺して土を掘り上げ、切り株の下に木の棒を差し込んで、テコの原理で引き抜き。
それ以外の者はクワで雑草を掘り上げて除去してから地面を整地したり、岩や石を取り除いて森の方に捨てに行ったりと、手を抜かない。
一日目が終わり、二日目が来て、三日目に辿り着き、四日目が訪れて、五日目が過ぎ去っても、工房の人達の努力が緩む事無く続き、先生と二人で、数ヶ月掛けてやろうとしていた作業は、
「いかがでしょうか?」
六日目という短期間に濃縮されて終わり、目の前には、初日とは比べ物にならない平地が広がっている。
あった物が無くなり、邪魔になる物が無い、馬車道より綺麗な平地。
この日までの彼等の努力を見て、彼等の努力を見たその目で、目の前に広がる光景を見て、
「本当に…ありがとうございます」
誰が、文句を言うのであろうか?
自分達が望んでいた……望んでいた以上の光景に、改めて頭を深々と下げて感謝の意を示すと、
「よしゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
「一週間以内に終わらせてやったぜ!!!!!!」
工房の人達は次々と平地になった滑走路に、大の字になって倒れ込んでいく。
六日目の午前まで気を張り続けていた彼等は、滑走路が完成した事で気を抜いて喜び、
「…………」
嬉しさを爆発させた次の瞬間には、眠りに付いていた。
「……本当に、お疲れ様でした」
自分達の代わりに、一生懸命に働いてくれた工房の人達を労わり、
「先生、飛行は明日でよろしいですよね」
『…………』
今日一日は英気を養う日とすると、私もまた、平地に寝転んで、マメが出来た手を空に向けるのであった。




