異世界のアフレクションネクロマンサー271
自分が作った物が空を浮く。
「先生浮かびましたよ!!」
紙と水と鉱石で作った簡単な物で、そんな物が空を飛んだと驚きつつも、喜びのあまり先生に声を掛けるが、
『…………』
先生も、空に浮いた紙に驚愕をしていた。
後日、先生が教えてくれたのだが、空気は温める事で膨張し、紙の中の空気が外に出されて軽くなって浮くという事らしく、この時の水を含んだ水蒸気では重くて普通に考えたら浮くはずは無いという事らしい。
だとしたら、どうして浮いたのかというと、先生でも詳しい原理は分からないが、仮説を立てるとしたら、一気に水が噴出した力と、水が蒸発して軽くなって浮いたのではという話であった。
先生が示そうとしていた答えとは違う物になってしまったが、
「注文の品をお持ちしました!!」
その実験結果は、別の答えを産み出した。
「今行きます!!」
外から聞こえた声に呼ばれて外に出ると、そこには町の工房で作って貰った物が、大きな木箱に守られて届けられていて、
「この度は、我が工房にご注文ありがとうございます」
お世話になった工房の方も一緒にいた。
「こちらこそ、色々とお世話なりました」
先生と二人で町に出掛け、工房の方に例の設計図を見せながら、私は、先生との通訳として一つ一つ丁寧に教え、工房の人からの質問を丁寧に先生に伝えると、
「それで先生は?」
「あちらに」
工房の人達も、この例の物が異次元の作品と分かり、先生に教えを請うようになっていた。
物作りを生業とする彼等だからこそ、先生の素晴らしさをすぐに理解してくれて、料金をドラゴンの皮と骨で支払えないかと交渉しようとしたが、彼等は勉強をさせて貰うのに、お金は貰えないと、この設計図と教えて貰えるのが代金だと言って料金を受け取らずに、全面的に協力をしてくれた。
「それでは、あちらに運べば?」
「はい、あっちの納屋にお願いします」
先生が乗って来た飛行機が置いてある納屋とは別の、もう一つの納屋の入り口を開けて、そっちへと案内すると、
「……この『エンジン』を乗せれば完成するんですね」
工房の人は、自分達のエンジンを載せる、先生の飛行機の子供とも言える、木で作った飛行機を、眩しそうに眼を細めて見上げる。




