異世界のアフレクションネクロマンサー269
「私が…答えを創り出す……」
『難しく考えないで、君の想いを思い出すんだ』
自分の想いから知識を創る。
『学者の人達は本を読んで、実験をして知識を高めたのかもしれない。けれど、最初のスタートは本を読んだからとかじゃなくて。こうなって欲しいという夢の気持ちを形にしたくて、知識を身に付けようとしたんじゃないのかな?』
夢を形にする。
先生が用意してくれたこの装置はきっと、私の中の夢を具現化させてくれた物。
(私の夢は…本を買って棚に飾る事じゃない……先生から、様々な事を習って本にして、出会いを後世に残したい……)
紙が浮く、摩訶不思議なランプに近付き、
(私が、先生に見せたのは空を飛び立という夢)
ランプの台座を手にすると、宝石を太陽に照らすようにゆっくりと宙に浮かべると、
(……そうか、この紙は浮くんだ!!そして、浮く紙とランプが糸で結ばれているという事は、牛が荷物を引っ張るように、この紙はランプを引っ張っているんだ!!)
この装置の意味が分かって、目が見開く。
知識が自分の中で産まれ、その興奮に心臓が早鐘のように鼓動を打って、息が少し乱れるが、先生は頷いてそんな自分の様子を頷いて見守ってくれる。
「じゃあ…この装置は、空を飛べないのを表現するための装置……違う、先生は『水を沸騰させたエネルギーで、人を乗せて動く事は出来るけど、燃やす燃料が問題なんだ』って言って下さったじゃないか」
この装置は、人に絶望を突き付ける為の装置じゃない、人に希望を与える装置。
「この装置は浮くんだ、ただ問題は……」
手にしたランプをテーブルに戻し、部屋の隅に走って駆け寄ると、床にある溝に指を突っ込み、
「使う物なんだ!!」
床板を剥がすと、そこには子ドラゴンから剥いだ皮、肉を削ぎ落した骨、そして、コスモスのように黄色く鮮やかな鉱石があった。




