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アフレクションネクロマンサー 序章  作者: 歩道 進
異世界のアフレクションネクロマンサー
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異世界のアフレクションネクロマンサー268

先生は、素晴らしい知識を披露してくれる。


それはきっと、本の中に書いてある知識以上に素晴らしく、本に書かれるほどの知識を惜しげもなく教えてくれる。


死ぬまでに一冊の本を買って、戸棚に置くのが夢だったが、それはもう古い夢、今の夢は……


『それじゃあ、次のステップだ』


今度は、先生が落ちた紙を拾い、針で端に小さな穴を空けると、裁縫で使う糸を通す。


たったそれだけの手加え。


紙からぶら下がる細い糸、それが一体、どう次のステップに繋がるのかと、自分なりに頭を悩ませるが、皆目見当もつかない。


私が頭を悩ませて、答えを出そうとしているのを先生は、子供が一生懸命になっている姿を見る、親のように優しく見守りながら、ランプの火を消してから糸を結び、それから再度、火を灯すと紙がランプの上で浮いて固定される。


ランプの熱気で浮く紙、それを目で分かりやすくするのが、次のステップなのかと思うと、


『ここで、何かに気付かないかい?』


先生は、この浮く紙に他の答えがあるという。


ここが頭の悩ませ所、さっきのは前段階、先生はここから何かを感じ取って欲しと願っている。


私は、先生の想いに応えたいと、ランプの熱で浮く紙から発想を浮かべようとする。


(紙が浮くというのは、最初の時点でも分かっている…この装置は、それをより見やすくしたものでは無い。糸でランプに固定する事に意味がある)


片田舎の村に住むだけの、ちょっと文字が読めるだけの識者もどきな自分。


だけど、ここでこの装置が分かれば少しだけかもしれないが、識者になれるかもしれない。


そして、それは先生も望んで下さっている。


先程とは打って変わって、私が答えを導き出せるかと心配して下さっている。


子供が初めての狩りで、弓を引く姿を見るようにソワソワとしている。


(どうしたら良いのか…分からない……)


自分の持っている知識等、聖書の中の文字だけ。


聖書の中には、これに対する知識は無かった……だったら、どれだけ自分が知識を振り絞ろうと無駄な事で……


『目の前に答えはある、けれど知識が無い……だったら、ここで応えを導き出す知識を、君が創るんだ』


先生がそっと、自分の前に言葉を差し出してくれた。

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