異世界のアフレクションネクロマンサー262
掛けられたハシゴに足を乗せ、スタスタと降りて来ると、
『…………!!!!』
無事に降りられたのが嬉しかったのか、手を握られると握手をされる。
「無事に降りられて良かったです」
彼の友好的な態度に、先程までの緊張感は無くなり、異国の国から来たであろう彼の手を握り返して、自分が歓迎している事を伝え、
「にしても、これは……いや、言葉が伝わらないんですよね」
話をしたいと思っても、言葉が伝わらないではと苦笑いをして、表情で残念な想いを表す。
彼とは会話は出来無いが、こうやってジェスチャーとボディランゲージで幸いであり、
「とりあえず、私達の村に」
空いている手で自分の村の方を指差して、一緒に来て欲しいと誘うと、彼は、その誘いを理解してか頷いてくれる。
こうして彼を村の中に連れて行き、村のみんなの注目を浴びながらも自分の家に招き入れ、
「あなたのお陰で、村は助かりました……被害が出ているので、村は慌ただしくなりますが、どうか気になさらずにお休み下さい」
彼には、椅子に座るように促し、自分はかまどに火を入れると、お茶を出す準備をする。
耳を研ぎ澄まさなくても聞こえて来る泣き声に大きな声、本当なら自分も村のみんなと一緒に、被害を調べなければならないのだろうが、
「この国のお茶が、お口に合えば良いのですが」
彼と親交を深めるのは、それと同等に重要な事のように思えて、みんなに悪いとは思いつつも、お湯が沸くのを待っていると、
『…………』
「どうしましたか?」
彼が、何かの声を掛けるとこっちに寄って来る。
「こちらで見学されますか?」
一体何の用なのだろうか?もしかしたら、お湯を沸かしている姿が珍しいのか?
こちらにゆっくりと近付いて来る彼に、伝わらない声を掛けると、
『…………』
何かの言葉を言いながら、自分の方に何かを差し出す。
「何か見せたい物が?」
彼の方から差し出してくれたのだから、見て失礼になる事は無いと、遠慮無く覗き込むと、
「それでは、少し失礼をして……これは!?」
彼の手の中にある、小さな発光する物の表面に文字が浮かび上がっていた。




