異世界のアフレクションネクロマンサー260
鎧とは違うが、服というの言うには何か変で……
冬の寒い時期に着込む格好とも何か違う。
「布で出来た……鎧?」
服を着込んだ雪だるまみたいに膨れた服とは違う、重厚な服。
「ドラゴンを殺したのは…その為なのか……」
厚い皮で作られたかのような服、それがドラゴンの皮を剝いで作った物だと言われたても納得出来る。
もしかしたら、神は新しい服を作る為に狩りをしに来たのかもしれない。
それならば、神は自分ら等無視して、ドラゴンの遺体を持って天界にお帰りになる可能性もある。
神だと思っていた物から、姿を現した人のような輪郭を持つモノは、始末したドラゴンが息絶えているのを確認しているのか真っ直ぐと顔を向けて、自分の方には一切興味を示していなかったが、
『…………』
突然、ヘルムを被っていた頭が地面に伏せる自分の方に向けられたかと思うと、腕を振って自分事を呼ぶ。
口元だけが空いているヘルムから覗く口が、パクパクと動いているが風の音で聞こえない。
神の機嫌を損なわないようにする為にも、何て言っているのか聞く為に立ち上がり、
「今…そちらへと向かいますゆえ……」
緊張から、心臓が爆発しそうな程に鼓動を打つのを我慢する。
(そうだ…神はきっと、このドラゴンの遺体を運ぶのを手伝えとおしゃっているに違いない……そうでなければ、自分みたいな者に声を掛けるはずは無い)
理由を付けて、大丈夫だと言い聞かせ、
(もしも、自分が近付くのを許さないというのなら、この瞬間に殺されているはずだ……)
片田舎の学者とも言えない、単なる本好きの自分が、精一杯の考えを巡らせる。
春風のそよぐ中を一歩一歩足を踏み出し、決して神の怒りに触れないように、少しだけ横に回るような形で近付き、
「はぁ……私に、どのような御用で!!」
側に寄った所で風に負けないように大きな声で、神に応えるが、
『…………』
「恐れながら……なんと、おっしゃっているのですか?」
神は我々には分からない言葉を話し、互いに何を喋っているのか分からずに、口を閉口させてしまう。
意思疎通が出来なければ、何も出来無い。
せめて全知全能の神の方から、自分達の方に歩み寄って下界の言葉を使ってくれたら……
『トントン』
言葉をさえ通じればと思ったが、神は自分が乗っている物の横を叩いた後、屋根から降りような素振りを見せる。




