異世界のアフレクションネクロマンサー259
服がパタパタと、旗のようにはためく。
離れていても、感じる風。
神は、ドラゴンの次に、我々を殺そうというのだろうか?
耳を触る風、耳に触れる音。
神が操る風の言葉では、人は到底理解する事は出来無い。
「神よ…どうか、人に分かる御言葉を……」
いつまで、神は私に優しくしてくれるのだろうか?
今は、春風のように話し掛けてくれているが、神の言葉を理解出来無い愚かな生き物だと侮蔑されてしまっては、嵐のような風を巻き起こされて消されてしまうだろう。
手を握り締めて、自分がドラゴンのような強大な存在では無く、子羊のように弱い存在だと訴える。
風が波のようにうねり、雨が針のように刺さる雨の中でも空を飛べるドラゴンでは無い。
風が波のようにうねり、雨が針のように刺さる雨の中が降れば、小屋の中で怯える事しか出来無い存在。
怯え震えながら、神が、地を這うような非力な存在に話掛けてたのが間違いだったと諦めて帰る事を祈る続けると、
『シュゥゥゥゥゥ……』
自分に話し掛けていた風が次第に弱まっていく。
それは審判の時。
風で話し掛けるのが無駄だと気付いた神が、呆れて物言わなくなっているのか、神の言葉すら理解出来無い愚か者に怒りを覚えて、叱責する為に息を吸い込んでいるのか。
「どうか…お許しを……」
祈りが謝罪となり、許しを乞うと、
『カシュゥ』
神は突然、おもむろに口を露出する。
「ひっ!?」
それは、ドラゴンが火を噴くような大口。
神が放つ炎。
そんなのは、もう想像出来ない。
ドラゴンの炎によって焼かれた村は数知れず。
想像を絶する炎が舞い上がるのと思い、自然と目に涙が浮かんだが、
『…………』
神が開いた口の中から現れたのは、奇妙な格好をしたモノであった。




