異世界のアフレクションネクロマンサー257
生きている者が、死んだ者に変わる。
生者と死者の境目が分からない程に。
今まで生きていた者が、今、死んだ者になる。
空から何かが飛んで来て、子ドラゴンに喰らい付いただけで殺した。
信じられない。
料理で使う包丁を刺し、畑を耕す鍬を振り降ろし、村にあるなけなしの剣を突き立てても平然としている子ドラゴンが、何かに噛み付かれただけで、体に大きな穴を空けて血を流す。
それは、いつもの天から降らせる雷よりも、時折、大地を揺らす地震の裁きよりも生々しく……いつもの神の力を見せ付けるのとは違う、殺すという確固たる意思を感じる。
あまりにも無慈悲な裁きに放心したまま、地面にへたり込んで、目の前の子ドラゴンの遺体を見つめていると、
『シューーーーーー』
「うっ……」
先程とは少し違う、風の音が吹いてくる。
台風の前に訪れる体を押す風。
神は子ドラゴンの体を始末するのと同時に、自分達の村も吹き飛ばそうというのか?
風に押されて、その場に伏せると空から何かが降りてくるのが見えた。
天から真っ直ぐに大地へと降りてくる『何か』……いや、神に等しいドラゴンを始末したのかが『何か』の訳がないのは充分に承知している。
「神様……」
空から降りてくる神は、翼を羽ばたかせる事もなく、風を操って降りてくる。




