異世界のアフレクションネクロマンサー252
「くわぅ……」
羽ばたいた熱を浴びた者は、皮膚が焼けて膨張して丸く膨れ、
「くっ……」
赤い光に巻き込まれた者は、黒い煤になって大地に倒れる。
焔の側にいた者は即座に死が訪れた。
まぶたを瞬く暇も無く、死んだ者達の姿にさらなる恐怖を覚えた者達は、我先と逃げ出すが、存在するだけで、生き物の姿形を変える焔は逃亡を許さない。
羽を広げて空を飛び、空から逃げ出す者達に熱波を浴びせると、
「ぎゃあぁぁぁぁぁ……!!ぎゃあぁぁ…!!ぎゃあぁぁ…!!」
言葉を上げられずに、赤ん坊が泣くように何度も何度も悲鳴を上げる。
泣いているからといって、誰もあやしてくれない。
出来る事は、体を焼かれながら、助かりたいと泣き歩くだけ。
地獄を現世に再現する焔。
その姿は本来なら、ドラゴン達が徒党を組んで争っている時に切り札として使う姿。
ドラゴンが対ドラゴンに使う奥義。
こんな下賤な者に使うようなものでは無いが、
「はぐっ!!はぅ!!はぅ!!」
下賤な者に裁きを与える為にも、今回は特別に焔の姿になった。
泣きながら歩く事も出来なくなった者達は、最期には苦しみながら頭を大地に擦り付けて、神に祈るように許しを請う。
何とか…何とか許して貰おうと命乞いをするが、神が書物の中の存在と侮った者達に、神が現実に存在する事を目に焼き付けさせて殺す。
祈りながら死んだ者達の姿で、愚か者達は知ることになる……この世界には決して触れてはいけない……
「ふざけるな!!神等いない!!いるのは生き物だけだ!!」
決して触れてはいけない存在がいるというのを、教えよとしているドラゴンに歯向かう者がいた。
「全ての生き物達が、生きて繁栄する為に争って必死になっている……それを……それを神に愛された者がいて…愛された者だけが繁栄を許され、愛されなかった者は蹂躙されるだけの存在等と誰が認めるものか!!」
それは、ドラゴンの死を確かめた、あの学者であった。




