異世界のアフレクションネクロマンサー249
ドラゴンに対して有効な対抗手段の確立に、各国は湧き立って爆弾気球を造っては空にいるドラゴンに向けて送っていく。
自分達の聖域に穢らわしい物が送られて来たと、腹を立てたドラゴンが次々と地上に落ちては、人間の餌食になる。
聖域を争っているドラゴンの争いの中に爆弾気球が混ざると、ドラゴンの近くで爆発して致命傷を負わせて大地へと墜落させるが、争いで距離を取っていたもう片方のドラゴンには届かず、目の前の謎の物体が自分達を殺す物だと理解すると、その場を逃げて行く。
自分の血を分けた子供達と一緒に聖域を飛ぶドラゴン、ここが自分達だけが許された世界だというのを満喫させながら、他のドラゴンに襲われないように前を飛ぶ。
世界の果てまで繋がる空を自由に駆け巡っていると、目の前に不審な物が浮いて来る。
普段なら、そんな怪しい物等、炎を吐いて一瞬で始末してしまうが、今は子供達といる。
聖域を侵す何かは許し難い事であったが、子供達を危機に許し難い。
ドラゴンは安全を取って、空に浮かぶ物から距離を取って旋回すると、目の前の物が突如爆発して、固い物が飛んで来る。
自分の体を盾にして子供を守る。
遠くから飛んで来る固い物は、強固な鱗が弾き返し、幾つかの黒い物が羽に刺さるが致命傷になる程では無い。
ドラゴンは、子供が無事な事を確認してから、傷付いた羽をいたわるように、羽ばたかずにグライダーのように羽を伸ばして滑空しながら、危険な場所から離れて行く。
爆弾気球は、確かにドラゴンに有効打を与えた。
多くのドラゴンを仕留めた事と、空を支配していたドラゴン達が爆弾気球を見るだけで逃げるようになり、空の脅威は鳴りを潜めると、ドラゴンはもう恐るるに足らない存在だと、ドラゴンはもう脅威では無いと思い込んだ。
ドラゴンに対する対処次第に流れ作業になり、国は繫栄する為に、国同士の覇権を争う方向へと次第にシフトしていくと、次第に爆弾気球の数を減らし、火薬の質を落として、裂傷させるための鉄の破片も減らす。
ドラゴン達は脅すだけで逃げて行く、小鹿のような存在で、我々はドラゴンに勝った……のだと思ったのが、最大の過ちであった。




