夢の中80
体を乗っ取られて行動出来なかったが、新たに体を形成することで抵抗する。
(ハナセバカドモ!!)
オーク達の腕に引っ張られた巨木の腕の指は花びらを咲かせるように空を仰ぐ。
(どうか我々と共に、この世界から消し去ってください!!あなたの大切な人を殺した罪をここで罰して下さい!!)
「……っ!!」
このオークの腕は礼人の味方なのは間違い無いだろうが、このオークの腕は二月とアニーの仇なのだ。
もし、あの時に二月達が追わずにいれば、この鋼鉄の巨人はアフレクションネクロマンサーをおびき寄せるために一般人を殺したに違いない。
躊躇う(ためらう)事は何一つ無い、これは最大のチャンスであり、この最大のチャンスの後に小さなチャンス一つすら来ないだろう。
元より自分達のために、この世界に危害を加えようとした存在、何も遠慮することはない。
このまま始末出来るのは都合の良いこと……だが、
彼らを救ってあげて欲しい___
アニーの最後の願いと彼らの行い。
彼らには彼らなりの事情があるのだろうと、ほんの少し頭の中でよぎると、このまま罪を償わせる為といって巨木の腕のエルフごと消し去ってしまって良いのかと同情をしてしまい、光の球を当てるのを躊躇するが、
(アフレクションネクロマンサー様!!!!)
自分を呼ぶ声で分かった。
オーク達は覚悟を決めている、罪を犯すことで自分達が裁かれることも、
(キサマラァァァァァァァァァァァ!!!!)
このエルフこそが諸悪の権現だと。
刺し違えてでもと願っているのならば躊躇しない。
(速く!!お願い致します!!!!)
オークの決死の覚悟が、恐怖に包まれてしまわないように躊躇わない!!
礼人は二の足を踏んだ足に力を込めて三歩目は力強く踏み出し、巨木の腕に一気に接近し、一度は弱まった光の球に再びマナを供給すると眩い降臨が光り出すと、
(ハナセ‼ハナサンカ‼)
エルフは慌てふためく。
礼人が撃ち込もうとしている光の珠を防ごうにも、
(お前達も覚悟を決めろ!!我々を…我々を……我々を奴隷として扱った報いを受けろ!!)
オークの絡み付く腕が巨木の腕のエルフを締め上げて、まともにマナを制御することが出来ない。




