夢の中8
こうしておばあちゃんの霊によって、霊能者である二月に出会えた礼人は妄想癖を治すためにと表向きはじいちゃんに引き取られ、霊力云々の前にこの世界には常識を守るために秘密裏にされていることがあることを伝えられる。
それは礼人にとっては衝撃的なことでもあったが、自分はまともであった事を告げられたようで心の中の鬱積していたものは消え、礼人は1年間の霊力の制御と心の療養をして表の世界に帰ることになる。
本当は、礼人はそのままじいちゃん達の所で霊能者として生きて行きたかったが、一応息子がどうなったか気になった親が来て、礼人が表面上普通の子になったのを見た親は世間体にも顔合わせが出来ると喜び、二月も裏の社会だけではなく表の社会を学ぶためにも学校に行くべきだということで、再び親元に帰ることになってしまった。
そうして礼人は表向きの世界で生きながらも、
「ほらっ礼人、そばを食べて年を越すぞ!!」
「……頂きます」
裏の世界とも関与しながら生活をしていた。
そうして年越しそばを食べ終えて年を越えた後は、テレビから流れる音楽に合わせて歌ったり、先程の礼人がやってた霊力試しを余興にと各々が時間を過ごすが、
「くぅ……」
礼人は小さな寝息を立てながら寝ている。
「やはり、無理をしていたんですね」
「礼人の過去を考えればワシが引き取れれば良かったんだがのう……」
「そうですねぇ……そうしたいのは山々でしょうけど表の世界を知ることによって裏の世界を知ることになります。それを考えると我々と供にいるより親元の方が良いのでしょう……礼人には親元から離れる年になるまでは親孝行していて貰いましょう」
二月とアニーは本当の気持ちと実情を吐露しながら、礼人の眠る横顔を見ていた。
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自分の持てる霊力を限界まで使ってしまった礼人は泥のように眠る。
限界まで使ってしまった霊力は精神力だけでなく、脳の血液を沸騰させて脳に直接疲労を与え、礼人の体は無意識に深い海の中に落ちたかのような錯覚に陥おちいる程に眠る。
深い海の中に漂う精神、何も考えず、誰にも邪魔されずに時間を掛けて深い海の底から現世へと向かい、次に目覚めた時には……
『憎い…』
(…………?)
『許さない…』
(…………誰?)
『殺してやる…』
礼人――
『復讐を…』
礼人―
『遂げるために!!アフレクションネクロマンサー様を!!』
「礼人!!」