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アフレクションネクロマンサー 序章  作者: 歩道 進
異世界のアフレクションネクロマンサー
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異世界のアフレクションネクロマンサー247

『ぎっ…ぐっ……ぐぅ……』


鈍い音が鳴った後、叫び声とは違ううごめくような声が漏れる。


聖域へと飛ぼうとしていた声は、結局体から離れる事は出来ず、体に引っ張られて大地に叩き付けられた。


身体から漏れる声には空へと、聖域へと飛び立つ力は無く、口から漏れる血の混ざった唾液と共に大地に染みる。


ドラゴンはくぐもった声を漏らして、生きていると証明しているが、


「あれはもう……」


「間も無く死ぬ」


身体中から突き出ている骨が、それを否定する。


体の中から突き出た骨の剣。


本来なら臓器を守り、体を支える役目をする骨が、肉体の中をズタズタに傷付けて内側から致命傷を与えている。


尻尾を振る事無く、羽を羽ばたかせる事無く、手足を大地に着けようともせず、体を身動き一つさせないのは、体の中から溢れて来る痛みに耐えられ無いからであった。


息をするだけでも肺が詰まり、体の中に残る骨が軋む。


生きようとするだけで精一杯のドラゴン。


その状態に決して希望が無くとも、死に抗う。


「こんな事が……」


多くの兵士を殺し、多くの勇者を死に追いやったドラゴンの何とも哀れな最期。


神の使いのように恐れられ、天災の一つに数えられていたドラゴンが、


『ぶっ…ぶぐっ……』


最期に口から大きな血の泡を吐き出すと、目を見開いたまま絶命するのであった。


絶対なる力を持ったドラゴンの事切れる瞬間を、調査に来た全員で見届けた。


誰一人が異論無く、立場が違う者同士でも同じ事を口にする。


「ドラゴンは、地上に叩き付けられて死んだ」と。


そして、それから西洋の航空技術は爆発的に発達する。


最初は、空を飛んでいるドラゴンを落とす為に、爆薬と鉄の破片を積んだ気球が誕生する。


ドラゴンを落とすには、翼の欲膜を傷付けないといけないのだが、元から火に耐える事が出来るドラゴンには爆薬はあまり効果が無いため、手榴弾のように破片を飛ばして欲膜を傷付ける爆弾気球が造り出された。

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