異世界のアフレクションネクロマンサー241
誰もが口にしないが、静かなる死。
穏やかに、静かに、苦しむ事無く数日後には息を引き取る。
このまま目を覚まさなければ、そのまま眠りに付きそうで……
「……っ」
「……うっ…ん」
目を覚ます兆候が無かったが、二人が同時に声を漏らして、目がゆっくりと開いた。
「おぉ、ご無事で」
ただ、目をつぶっていただけで、自分が思っていた事は杞憂に過ぎなかったが、それでも胸を撫で下ろし、
「それで、何かございましたか?」
アイエンズは、心配していた事をおくびにも出さずに、何事も無かったように振舞う。
「あっ……えぇ…私達にとっての大切な事はありませんでした。あったのは、先代のアフレクションネクロマンサーの記憶だけ」
「そうですか……所で姫は?」
「んっ…んんっ……」
礼人は記憶の中から目を覚まして、すぐに会話が出来たが、リーフは目を開けてはいるが、ふらついている。
「……上手く意識を覚醒させる事が出来なかったのですね。一回、リーフさんを部屋まで連れて行きたいのですか」
「かしこまりました。すぐに何人かの者達を呼んで来ます」
アイエンズは礼人に言われるがままに、リーフを運ぶ者達を呼びにその場を離れて行く。
パタパタとアイエンズが部屋から出て行くのを見送って、
「栄華様のアフレクションネクロマンサーとしての記憶か……歴史の勉強をしてもな」
貴重な記憶だったのは違い無いが、この世界に迫る物を遺してくれたのでは無かった。
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誰か達が戦っている。
世界を賭けて。
互いに、辿り着いた果ての究極の存在が争い、その過程で産まれた者達も争う。
世界を奪わせない為に、怨恨で、手助けする為に集って。
守りたい、許せない、助けたい……そんな想いが交錯して、
「……ここはどこ?」
「ここは、リーフさんの部屋ですよ」
「えっ?」
何かを見ていたのが、自分の部屋に変わる。




