異世界のアフレクションネクロマンサー237
どちらも決定打を入れられず、仕切り直しをするのかと思われたが、
「私は十分に満足しました…ここは互いに見逃すというのが、決着というのはどうでしょうか?」
散々戦う事を切望し、戦いを楽しんでいた人影からあっけない幕切れの要望。
光の人からすれば仲間達を殺されて、栄華まで危険に晒されて、こんな一方的な提案等飲めなそうなものだが、輝く刀を振ろうとせずに話を聞く為に姿勢を正す。
こっちが有利で、そっちが不利というのはなく、最後の瞬間まで戦わなければ勝敗は分からないが、
「あなたとの戦いはとても楽しいものでしたし、最後まで戦っても良いのですが、もう一つの楽しみも味わいたいものです」
人影は、光の人と戦うのを楽しんでいたからこそ、栄華を人質に取ろうともせずに、正々堂々と戦っていたし、
「その子に触れようとしたのは、殺そうとしたからではありません。ただ、あなた達と触れ合いたかっただけ、約束は守りますよ」
交わした約束を反故するつもりも無かった。
だが、それだけで「最後まで戦っても良い」という思いを抑える理由としては弱かったが、
「そろそろあの子も限界でしょ。私が何かをしなかったとしても、このままでは周りの黒いモノに取り殺されてしまいます」
子供の状態を考えれば、これ以上二人で遊んでもいられない。
「私にも、あの子の魅力は分かります。あの子を自分の中に憑り込めれば、どれだけの進化に繋がるでしょうか……やめなさい」
人影の範疇に入っていない黒いモノが、弱っている栄華を憑り込めるか味見しようと、ブクブクと泡立ちながら地上に現れようとしたが、人影が警告すると逆らう事なく地中の中に沈んでいく。




