異世界のアフレクションネクロマンサー236
『ジュッ!!ジュゥゥゥゥゥ!!!!!!』
「これは危ない!!」
光の人が体を押し付けて来る前に、人影は黒いマントを形成して体の間に挟み込んだが、そのマントごと消滅させようと体を押し付けて来る。
まるでオークが、体ごと押し込んで来ているかのような圧に人影は驚きを隠さず、足を使って光の人を払おうとするが、
『ジュゥゥゥゥゥ!!!!!!』
「くっ…」
光の人も足を使って肉薄し、サッカー選手がボールを巡ってせめぎ合うように、激しいぶつかり合いにさしものの人影も、苦々しく声を漏らす。
自分と互角な腕前をしながら力の差がある以上、押し込まれてしまうと人影の方が不利な状況になってしまうが、
「……さて、ここで質問なのですが、何故あなたは私のように様々な事をしないのでしょうか?」
『ヒュヒュン!!』
大地から帯のような幅のある長い黒いモノが伸びて、光の人の足を捕えようとしたが、光の人は何の躊躇も迷いも無く、足に絡み付こうとした黒い帯を切り裂くと、
「どうやら、私の方が容量は大きいみたいですね」
人影は、その一瞬の隙に距離を離していた。
力の差があっても、勝っている部分で戦えば互角。
大地に潜む黒いモノは、目の前の光の人と決着を付けるには十分過ぎる程にある。
「さてと…そろそろ決着を付けましょうか」
その言葉と共に、大地にあった数十本の日傘が空を舞い、人影の姿が消えた。
人影は自分の姿に縛りが無い事を分かってか、姿を変えて日傘に変えて空を舞っているのかもしれない。
光の人は刀を下に降ろし、舞い上がった日傘を見上げて本物を見極め、
『ジュゥ!!』
日傘の中に人影がいない事を見極めて、大地に輝く刀を突きさすと、
「ふふっ、ここまでしてもバレてしまうとなると、私としても鍛錬を積んでから。再び手合わせ願いたいものです」
大地の中から、光の人を襲うとしていた人影のすぐ側を切り裂いただけで、本体を傷付ける事は出来なかった。




