異世界のアフレクションネクロマンサー234
危機一髪、難から逃れた人影は、大地に潜む黒いモノと呼応して体を再生させようとしたが、
「まだ、遊んでくれるんですか?」
それよりも先に大地から、自分の体を消滅させたモノが飛び出す。
「こんなにも、命の輝きに差が出るものなのですね」
大地から朝日が昇るかのように眩い光、後光が差す命は、自分が有無も言わせずに殺してしまった命。
「肉体という殻を壊され、命だけの輝きになったからこそ、その力強さを産み出すのでしょうか?」
側に居られるだけで体が溶けそうになる輝き。
光が闇を世界から消し去るように、黒いモノで構成された体は光に包まれて、
「…ふふっ、怖い怖い」
このままでは光に包まれて消える……そう思えたが、
「その光が私を溶かすというのなら、オシャレに日傘でも作りましょう」
人影は、先程の慌てた素振りが嘘だったかのように平然として、大地から一つの日傘を作り出して手に取ると、楽しそうに日傘を差す。
黒いモノで作られた黒い日傘は、眩く後光を差す光から、人影の体を守るが、
『ジュジュッジュゥ……』
そこには力の差があるのか、日傘は鉄板で焼ける肉のような音を鳴らしながら溶かされていく。
時間稼ぎにはなるかもしれないが、それでは根本的な解決には……
「どうやら一本では足りないみたいですね。それでは、足りるまで作るとしますか」
人影がそう宣言した途端、大地から数十本の黒い日傘が作り出され、
「さぁ遊んで下さい。私より強きモノ」
それに呼応されたのか、光も自身を人の姿に変化させ、その手に輝く刀を持つと、
『ジュジュゥ!!』
互いの持つ獲物が、黒い日傘と輝く刀がぶつかり合う。
輝く刀が振るわれて、黒い日傘で受け止めると、たった一回で黒い日傘はダメにされて壊れてしまうが、
「その輝く物が、私に触れた瞬間にあなたの勝ちですが、届きますかね?」
大地から生えている黒い日傘を次々に手に取ると、光の人からの猛攻を、鉄壁で防いでみせる。




