異世界のアフレクションネクロマンサー224
『ジュッ!!ジュジュッン……』
大地から、ワカメのようにクネクネした黒いモノが姿を現し、体をくねらせたのと同時に霊能者達は結界ごと切り裂かれる。
その先を言葉に出来ない。
言葉にするのが凄惨で、憚れるというのもあるが、
「あぁ…あっけない……」
反撃する隙も無ければ、何をされたかを認識する時も無い、シチューの具材のように肉片を大地にゴロゴロとばら撒いて終わった。
「アフレクションネクロマンサーなら、どうやって抵抗したのだろうか?」
霊能達であった肉片が散らばる中で、エルフの人影は思いを馳せ、
「ありがとうリーフさん」
「いえ…」
当のアフレクションネクロマンサー達は、冷や汗をかいていた。
大地から生えたワカメのようなモノが揺らめいた際、偶然なのか礼人達の方にも向かって来たが、二人は自分達の霊力を融合させる事で、難無く弾き返す事が出来たが、
「あれは…本気じゃないですよね?」
「えぇ…全然本気じゃないです」
二人が感じたのは圧だけであった。
このクネクネした黒いモノには殺意は無く、それこそ子猫が虫を叩くような好奇心。
アフレクションネクロマンサーではないが、不思議な力を持つ者がどれほどの実力があるのかという好奇心から振るっただけの圧で、霊能者達は虫ケラのようにバラバラに弾けた。
「……あぁ、誤解しないで下さい。決してあなた達を馬鹿にしている訳では無いんですよ」
アフレクションネクロマンサーに思いを馳せていた人影は、唯一手を掛けなかった栄華を背負っている霊能者の方に視線を向けると、
「…………」
「そんなに怖がらないで下さい……と言っても、この後どうなるか分かっているのでしょ?」
霊能者は、全てを諦めて俯いていた。
圧倒的な力の差を持っていても、それで相手を弄ったりする卑劣な存在では無いのは、一瞬でケリを付けた所で分かったが、
「……この子だけはやめてくれ」
自分を見逃すつもりも無いのは、肌で感じた。




