異世界のアフレクションネクロマンサー211
熱湯を浴びせられたかのような熱さ、熱湯を浴びたかのような痛み。
これが、記憶の中の出来事だと意識していても、
「体が……」
肉体が焼けるような苦痛に顔を歪ませ、体を縮こませ、翼を閉じて体を守る。
防ぎようの無い苦痛に、それでも抗おうと身を守るリーフ対して、
「無意識にですが、防衛本能が働いていますね」
礼人も、少し自分の二の腕を掴んで、人影が体を振るった際に出た熱風に我慢しているが、それでも礼人は二の腕を掴んで我慢するだけで、悲鳴を上げる事は無かった。
「その差は…鍛錬をしているからですか……?」
自分だって、アフレクションネクロマンサー様と同じ力を持つ端くれ、マナと霊力を混ぜ合わせた翼は、礼人の羽と変わらないモノを持っているのに、苦しい思いに差があって、さらにアフレクションネクロマンサー様は自身を守る為に羽を閉じる事無く、羽を繭状にして包み込んでくれている。
他者を守りながらでも、余力を残せるアフレクションネクロマンサー様。
格の違いをまざまざと見せられて、リーフは逆にアフレクションネクロマンサー様と同じ土俵に立てるのか、自分にはアフレクションネクロマンサー様になる才能が無いのではと心の中を過ると、
「もちろん、鍛錬というのもありますが、足りていないのは何もそれだけではありません」
礼人とリーフの差には鍛錬があるというのも事実だが、それ以外にもあると言って、礼人は目を閉じてから軽く息を吐くと、礼人の体が翡翠色に輝いて体が燃え上がると、一つの火の玉になった。
「な…何をされたのですか!?」
人の姿を無くして、火の玉になったアフレクションネクロマンサー様。
確かに、色々と片髪の白髪が進行したり、左眼が水晶化されたりと、体に異変が起きているのは傍から見ていたも分かっていたが、これはもう何と言って良いやら……人の姿まで変えられるとなると……
「慌てないで・霊障害が進行したからこんな事が出来るようになったのでは無くて、何ならリーフさんも出来るんですよ」
「私もですか?」
火の玉になったアフレクションネクロマンサー様は、何事も起きていなかのように平然とそのままの姿で話し掛けてくる。




