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アフレクションネクロマンサー 序章  作者: 歩道 進
異世界のアフレクションネクロマンサー
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異世界のアフレクションネクロマンサー201

人は死んだ時の記憶が強烈に残る事がある。


熟れたトマトが地面に叩き付けられて、身をグチャグチャにして地面を赤く染めるように、鮮明に記憶を残す。


(まさか、核爆弾が落とされた時の記憶を見る事になるなんて……)


残された記憶が強烈であればあるほど再現性は高く、記憶と同期する時の危険性は跳ね上がる。


大概たいがいの事は何とか出来る礼人だからこそ、その危険性を忘れて簡単に記憶との同期をしてしまい、


(危うくリーフさんを殺す所だった)


ここは栄華が遺した記憶の中。


核爆弾が爆発する前に、ここから出ようとしたが、他人の記憶のせいでここから抜け出す方法が分からず、出来損ないの人魚の中に捕らわれてしまった時のように出口が見つからなかった。


一応、この世界を破壊するという奥の手もあったが、その場合は出口が壊れて、麗騎兵の精神の中に閉じ込められる可能性があり、正直どっちもどっちな選択肢であったが、栄華が遺して誰かに託すか、生まれ変わった自分が視る事を考えれば、何かしらの対策を立てている可能性は高く、下手に精神を壊して閉じ込められる方が分の悪い賭けだった。


礼人は繭の中から周囲の景色を確認すると、全てが無くなっていた。


それは、ほんの少しの人の痕跡も影も残さず、建物の跡地も残さず、木片の欠片も無ければ鉄屑すら残っていない。


何もかもが無くなった世界で、礼人はリーフを抱きしめたまま、


(そうだよな…おかしいんだ、今の記憶は)


周りが真っ白になった世界を見つめる。


礼人がいう「おかしい」部分、それはこの記憶の通りなら、栄華は核爆弾の中心地にいた事になる。


それが何を意味するのかは誰でも分かる。


決して逃げきれない光、音、風、熱、それらが一気に襲って来る。


まるで、台風が吹き荒れ、カミナリが雷鳴を光鳴らし、マグマが噴火したかのような地獄が一瞬で一緒になって襲って来る。


地獄ですら窯茹で地獄、針の山地獄と、一つ一つのカテゴリーに分けられているのに、核爆弾は地獄の刑罰を混沌に混ぜ込んで牙を剥く。


いくら栄華といえど、核爆弾の中心地にいては耐えられるものじゃない。

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