異世界のアフレクションネクロマンサー200
日本を焼こうとしたB20Nは、八咫烏の導きで黄泉の国へと誘われてその姿を消したが、
「もう一機だけは……しまった!!」
「えっ?」
もう一機だけは、八咫烏の導きから逃れて日本に辿り着いてしまった。
B20Nは念のため、海上からの攻撃を受けないように深夜に旅立ち、闇夜の中に紛れ込んで日本に辿り着いたのは、人がまだ眠りから目を覚まし始めた早朝。
「隠れる場所は……いや、記憶の中なら大丈夫なのか!?」
「あの何が?」
礼人の慌てふためく様子は尋常ではなく、それは出来損ないの人魚を見た時のようで、
「核が爆発して、ピカドンが来るんです!!」
「ピカドン…?えぇ!?」
礼人は、リーフの手を掴むと自分の胸元に引っ張って顔を埋めさせて、蝶の羽を広げると自分達を繭のように包み込む。
「あのっ…ピカドンって?」
何も説明されないが、ピカドンっというのが嫌な予感がする。
平穏な街、まだ朝を迎えたばかりで誰も外にいない静かな街。
後、もう少しで多くの人達が外に出て来て、生活が息吹時間が来るはずなのに、その時間が訪れない予感がする。
これから起きる事に、体中がゾワゾワして震える。
アフレクションネクロマンサー様の胸に顔を埋めながら、首を少しだけ動かして目線を横にずらすと、横目に見えた家の門が丁度開かれて、一人の少女が外に飛び出すと光が走って破裂音が聴こえて、
「消える……」
先程まで見ていた景色が消えた。
日常が描かれていた絵が、真っ白なキャンパスに差し替えられたかのように景色が無くなっていく。
(これが…アフレクションネクロマンサー様の世界の戦争……)
感情が湧かない。
戦争は血と血で争い、雄叫びを上げて感情を剥き出しにして争うはずなのに、何事もなかったのように全てが消えていた。
(良かった……)
礼人はリーフを抱きしめながら、閃光から身を守る。
蝶の羽で繭を作る事で光から身を守る事が出来たが、これが熱まで再現されていたら精神は崩壊していた。
元の記憶の持ち主が核に耐え切れなくて記憶出来無かったか、栄華が何とか熱だけは記録から取り除いてくれたのかもしれない。




