異世界のアフレクションネクロマンサー198
「B20の航続距離…遠い国から、空を飛んで来る兵器は間違い無く日本まで届きましたが、海を支配していた日本に対して、海の上を飛び続けるのは、生肉をぶら下げて肉食獣の前を歩くような自殺行為でした」
「では、どうやって?」
日本海軍の鉄壁を掻い潜り、東京まで侵入してみせたその手腕とは、
「空を飛ぶ兵器の改良型、B20N、対日本用大型爆撃機が造られたのです」
「B20N?対日本用大型爆撃機?」
海の上を飛ぶのが無謀だというのなら、空の中を飛べば良い。とは
砲弾が届かない高高度の空、戦闘機では辿り着けない青い青い空が広がる天空の果てを、対日本用爆撃機、B20Nは飛んで来たのだ。
「単純明快な答え、遠く高い所から飛んで来る……それをやってみせたのがB20N」
礼人は天を見上げて空を見る。
鉄壁を誇った日本ではあったが、それは海を利用して制空権を取っていたのであって、空を支配して制空権を奪っていたのではない。
海を支配していただけなのに、空をも支配したと勘違いしていた所を突かれたのであった。
日本海軍は、遥か空の上を飛ぶB20Nに手が届かず、指先すら触れる事が出来ずに、飛んでいくB20Nを見送る事しか出来なかった。
「そうしたら日本は、一方的にやられてしまったのですか?」
「あっ…いえ、これにも話はありまして」
B20Nのせいで東京は核の炎に包まれたが、実はB20Nは一機では無く三機で飛来し、本来なら日本の各主要都市に核爆弾を落とす作戦であったが、
「少し説明すると、日本には最強を誇った海軍を主軸に、日本本土防衛の陸軍と空軍がありました。けれど、どちらも軍とは付いていますが、その中身は訓練所みたいなもので、陸軍は兵士の鍛錬、空軍は戦闘機の訓練をする場所でした」
「それが?」
「そうなると海軍に務める人はエリートで、陸軍、空軍は日の目を見ない場所として……ヒエラルキーが生まれてしまいました。海軍に務める事こそが日本の為、そんな風潮に陸軍も空軍も納得する事等出来ず、海軍の鼻を明かす為に極秘である物を造っていたのです」
「極秘である物?」
「その極秘で造られた物は、日本初のジェット戦闘機、八咫烏でした」
そのうちの二機は、陸軍と空軍が共同開発したジェット戦闘機、八咫烏に撃墜されたのだ。




