異世界のアフレクションネクロマンサー195
麗騎兵は、岩から染み出る清流のように体から涙を流し、栄華が自分の中に刻んだ想いを溢れ出す。
麗騎兵から流れ出る涙が、深い森を洗い変える。
今の今まで見ていたのは麗騎兵の思い出。
礼人が、栄華の生まれ変わりではないのかと思って、礼人の中にあるかもしれない栄華に訴えたが、それは叶わなかった。
叶わなかったが、それでも栄華の想いを受け継げるだけの少年がいる。
麗騎兵の思い出が涙によって流されて、栄華が遺した想いが満たされていくと世界が変わり、
「ここは…どこなんでしょうか?」
リーフの目に映るのは不思議な風景。
自分達の岩を切り出して積み上げた石の家と違い、木を切って組み合わせて作られた家。
岩を切り出すだけの技術が無いから、加工しやすい木を使っているように思えるかもしれないが、
「……まるで、本国みたい」
リーフの目に映る世界は、決してみすぼらしい世界では無い。
それ所か丁寧に作り上げられたと分かる画一的な家、どの家にも本国のようにガラスが付けられた窓。
それに、地面が石で敷き詰められてはいない、土剥き出しの状態ではあるが、奇麗に平らに固められていて、見るからに歩きやすくされている。
決して本国程の見栄えある街ではないが、それでも目の前に映る世界は、自分達の街よりも文明が発達しているのは肌で感じられた。
リーフはキョロキョロと、見た事の無い不思議な街並みに目移りしていたが、
「栄華様は、なぜこの時代を?」
礼人の目に映ったのは昭和の初期の頃、まだ発展している時の時代。
一般家庭の民家が並ぶ変哲の無い町。
木製の電柱が立ち並び、文字が左側に書かれた看板、それに家の前には自転車が立て掛けられている。
「都市部なのか」
古い町並みではあるが、現代の基礎ともいえる状況が出来ている所を考えると地方では無いらしい。




