異世界のアフレクションネクロマンサー192
栄華は自分の世界から一緒に来た霊能者達の魂と戦って……
「そうか……だから麗騎兵を作ったのか」
数十人の麗騎兵の魂との融合。
栄華に究極の力を与え、神の力を、神の裁きを具現化する力を与えたのかもしれないが……それはやはり、栄華の体に負担を掛けていた。
麗騎兵を作ったのが、戦う為に強力な兵器を作るという側面だけではなく、栄華の体の中にいる霊能者の魂達を外に出す事で、栄華の負担を減らすという目的があった。
「これで…終わりかな……」
最初の頃に感じた異変は指先からの痺れ。
指先からピリピリした感覚を覚えるようになってからも、休む事無く戦い続けた結果、末端から感じる痺れが腕と足へと広がって、手足の自由を奪っていた。
ドワーフの人にお願いして、普通の魂より遥かに強い力を持つ霊能者の魂でも保有出来る麗騎兵を、アソリティの剣に使う材料で特別な麗騎兵を作って貰い、体が完全に壊れてしまう前に分離する事が出来た。
そのお陰で霊障害は収まり、必要な時だけみんなから力を借りるという事が出来るようになって、だいぶ負担も減ったのだが、
「…………ふぅ」
栄華はか細い息を吐くと目をつむってしまった。
『『『ガチャガチャガチャ!!!!!!』』』
目を閉じた栄華に慌てて麗騎兵達が近付く。
今にも息が絶えそうになっている栄華を心配しているのだろうが、
「私も…みんなと同じ所に……逝くのですね……」
命尽きかけている栄華にしてあげられる事は何も無かった。
一体の麗騎兵が、栄華を何とか生かそうと融合をしようと手を伸ばしたが、その手を他の麗騎兵が掴んで止める。
「ありがとうございます…でも、もう限界みたいです……私の体は……」
限界を迎えた栄華の体に霊力を注ぎ込むのは、劇物を体の中に流し込む行為。
先程のサイクロプスを追い払った攻撃が、栄華の耐えられる最後であった。




