異世界のアフレクションネクロマンサー189
「私達と違う力……栄華様は麗騎兵を作る力をお持ちだったのですか?」
「それは……」
礼人と同じ、アフレクションネクロマンサー様と呼ばれるだけの事をしている栄華。
その功績が何かと考えれば、単純に自分の側で従者させている麗騎兵なのだろうが、
「いえ、栄華様の力は……」
『『『メキメキメキメキ!!!!』』』
礼人が、栄華の力を説明しようとした時、森が折れた。
木々が何かの力を加えられて、その身を折る音。
その音が幾重に重なって、木々が悲鳴を大地に響かせる。
「また来たか!!」
栄華は麗騎兵に抱きしめられたまま、悲鳴が上がる方を睨み付けると、天へと身を育てる木と同じ背の高さを持つ巨人が、木々をへし折って姿を現す。
「サイクロプスか!?」
礼人は、森をへし折って表れた巨大な化物を、自分の知っている存在に照らし合わせると悩む事無くサイクロプスの名前を出すが、少しだけ風貌は違った。
その巨体も、筋肉隆々(きんにくりゅうりゅう)な姿も自分の知るサイクロプスと同じであったが、森の中から現れたサイクロプスには一つ目ではなく二つ目で、耳と鼻があるのに口が無かった。
まるで子供が、口だけを書き忘れたかのような不思議な顔をしているが、その差異は微々たるもの、所変われば品変わる。
自分の世界にいる存在が、必ずしもこの世界と同じ訳が……
「アフレクションネクロマンサー様!!あれはサイクロプスという化け物なのですか!?」
「えっ?だっているじゃないですかサイクロプス?」
礼人はこの世界のサイクロプスに目を見張り、この世界独自のサイクロプスに驚いたが、リーフも礼人と同様に森の中から現れたサイクロプスに驚きの表情を見せる。
何なら、礼人の方がこのサイクロプスの存在を知っていて、リーフの方が知らない位で、
「あんなのが昔の時代にはいたのですが!?」
「……いたのでしょうね」
何一つ知らない様子で、サイクロプスに付いてリーフは聞いて来る。




