異世界のアフレクションネクロマンサー180
「異変に気付いて遅れてやって来た者達も、最初は何があったのか分からず。大声を上げながら戦場から帰って来た者達に戸惑いましたが、その手に自分達の作った武具があることに気付くと咽び泣きしまた」
「みなさんもですか……」
「はい……凱旋の中、まるで赤子を自慢するように高々と掲げられた武具、自分の子供こそが一番と張り合うように雄叫びを上げる様に嗚咽は止まりません。忘れていた幸福が……無くしてしまった誇りが満たされていく気持ちに、心が癒されていくのを感じながら私達の作った武具を見守っていると「この武具には友の魂が!!アフレクションネクロマンサー様の手によって、友の魂が込められている!!」その雄叫びに私は息を飲みました」
「だから…なのですね……」
ここまで聞いて、アイエンズがアフレクションネクロマンサーが言う人物が過去の人ではなく、自分だというのは朴念仁でも無ければ分かる事。
アイエンズは頷いて、感謝していた相手が間違い無くアナタであると伝え、
「アフレクションネクロマンサー様…我々に希望をもたらす伝説の英雄……いつもは子供をあやす為の物語と思っていたのに、その時は無我夢中になって凱旋の中に入り込んで声を上げました「アフレクションネクロマンサー様に会わせてくれ!!」と……」
アイエンズは量の手で、礼人の手を握り締める。
「その時から疑う事はありませんでした。アフレクションネクロマンサー様は、この世界にいらっしゃっていると、子供に聞かせる夢物語では無いと。フレン様に、アフレクションネクロマンサー様にお会いしたいと伝えましたが、お疲れになっているから会わせられないと言われた時は、心の底から残念に思っておりました」
「少しでも、みなさんの気持ちを救う事が出来て良かったです」
握り締める両の手は、鉄を強く打ち鍛えるための厚く太い手であったが、優しく包む両の手から、アイエンズの感謝の気持ちが滲んでいた。




