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アフレクションネクロマンサー 序章  作者: 歩道 進
異世界のアフレクションネクロマンサー
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異世界のアフレクションネクロマンサー179

(みんな…今頃どうしているんだろう……)


アイエンズの話を聞く事が、考え事をする為のアクセントでなく、情報収集で無くなり、礼人の心に響くものとなる。


元の世界から飛び出した自分がどうなっているかは、自分自身がこうしているから分かっているが、

(調査部隊の派遣を考えていたりするのかな……)


みんなからしたら、礼人が一言残して向こうの世界に旅立ってしまうという緊急事態。


(……こっちの世界で死ぬ覚悟を決めている場合じゃないな)


勝手にこっちに旅立って、こっちで勝手に死ぬ覚悟を決めた。


だが、それは行った者だから好き勝手に出来るが、残された者達は必死になって自分を探し、アイエンズのように苦しんでいるかもしれない。


アイエンズを通し、元の世界にいるみんなを見ていると、


「屈辱の時を迎える日に怯え震える日々が続き、一日一日に押し潰されながら帰還の日が来た時でした……」


感傷的な気持ちになっていた礼人とは裏腹に、さっきまで暗い声を出し、暗い顔を見られないように俯いていたアイエンズが顔を上げたかと思えば、


「遠くから声が鳴り響くではありませんか」


そこには、希望に満ち溢れた瞳があった。


「一言も声を上げずに静かに、亡くなった者達を送る時かのように静かに帰って来る行進では無く。遠くからでもみんなに帰って来たのを伝える雄叫び……何が起きたのか?そう思いながら、皆の目に触れないように隠れながら城門へと近付くと、戦場から帰って来て門をくぐる者達が、私達の作った武具を掲げ、手を振っているではありませんか」


アイエンズは、先程の暗い雰囲気など無かったかのように声を明るく震わせて、


「ずっとずっと辛酸を舐めて、苦しんでいた私には何が起きたのか分かりませんでした……遠い日に見た凱旋の姿、勝利を手にした者達の手で掲げられる私達の誇り……これは、夢を見ているのかと…自分の願望が見せている幻では無いのかと自分の目を疑いましたが……帰って来た者が大きな声で「我々は勝って帰って来た!!」そう言った時、私は涙を流していました……」


その時の喜びを訴えるかのように、瞳から涙がこぼれる。

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