異世界のアフレクションネクロマンサー174
くるみ割り人形のように小さなドワーフ達は、真っ赤に燃える自分専用の窯を前にして鉄を叩き、鉄は熱いうちに打てという諺があるように、灼熱化して柔らかくなっているうちに叩いて叩いて形を整え、叩いている鉄が冷えて固まってくれば窯に放り込んで熱し、鉄を熱している隙に横に置いてある樽にコップを無造作に放り込んで水分補給をしている。
休む事無く、皮膚を焼くような熱から逃れようともせずに、時間がある限り動き続ける覚悟で彼等は働き続ける。
目の前で火花を散らしながら作業する姿は圧巻の一言で、
(あっちでもか)
『『『ガンガンガンガンガン』』』
圧巻の作業はここだけでなく、他の部屋からも鉄を叩く音が響いて来る。
(なるほどな。大量の武具を量産する為に、熱を籠らせるようにしているのか)
この施設自体が武器を量産する為の窯で、
「向こうの部屋はもっと熱いのですか?」
「はい、ここは最後の仕上げの場所ですが、あっちの部屋では鉄を武具で使えるように育てる為という事で、ここよりもさらに熱くしています」
ここの中は、まさに地獄の釜。
武器を大量に作る為、効率を考えれば施設全体が熱い方が鉄が冷めにくくて良いのかもしれないが、
「ドワーフの人達は、この中で作業をしていて大丈夫なのですか?」
この中で長時間作業するというのは、命に関わるように思えたが、
「ほほっ、我々ドワーフは小さい体のせいで戦争には向きませんが、神様はその代わりにオークよりも強靭な体を、この小さな肉体にお与えになられているのですよ」
「アイエンズさん」
リーフと礼人の会話の間に、一人のドワーフが入り込み、
「姫、そちらの方はアフレクションネクロマンサー様でしょうか?」
「そうですアフレクションネクロマンサー様です」
「おぉ、アフレクションネクロマンサー様・お会いできるのを楽しみにしておりました」
アイエンズと呼ばれたドワーフ、リーフの側に立つ人物がアフレクションネクロマンサー様だと知ると深々と頭を下げるのであった。




