異世界のアフレクションネクロマンサー173
(それって危険じゃないのか?)
内心で思ったのだが、鍛冶場から熱風が吹き出して来るというのは分かっていたとしても、突然吹き出して来るのは危ないのではと考えたが、
「この音、熱風が通る時の警告音なのです」
「警告音?」
考え事と熱さで意識が認識していなかったが、
『ヒューー』
入口の方から、やかんが沸騰した時に鳴る音のようなのが聴こえて来る。
原理はきっと笛を吹くように、熱風が風穴を通って鳴っているのだろうが、
(こんなにハッキリと鳴っている音に気付けない何て)
原理何て関係無い、こんなにも耳に響く音を認識出来ない何て気が抜けているというか……
「戻って休まれますか?」
「……早めにリーフさんが助けてくれたお陰で、問題は無いみたいです」
熱い空気を吸って慌ててしまったが、器官が焼けるような事は無く、肺の空気を入れ替えただけで大丈夫であった。
胸を軽く擦り、大事にならなかった胸を撫で下ろした所で、
『ヒュー……』
熱風が吹いていた口笛が止んだ。
「もう、入れますよね?」
「はい、けれど中は熱いので」
「えぇ、しっかりと着込みます」
同じ間違いをしないように、フードに縫われているマスクで口を覆い、今度こそ気を逸らさないと心に決める。
「それでは、私の後ろに付いて来て下さい」
リーフも、アフレクションネクロマンサー様がいた世界の鍛冶場と、自分の世界の鍛冶場が違う物だと理解すると、自分の体を前に出して案内する形で鍛冶場の中に入って行くのであった。
鍛冶場の中に案内された途端に、身を包むような熱さに
(ぐっ…これは鍛冶場じゃない)
自分が思い浮かべていた鍛冶場とは環境があまりにも違った。
霊刀を作る際、火床等の火を使う場面はあったが、その火を使う物で施設全体が窯の中にいるような熱さになる事は無かった。
それは霊刀を一本一本仕上げるために、大きな火を焚く施設を作る必要がなかったからだが、こっちの世界では戦争の為にハンマーを大量に仕上げる為に、
『『『ガンガンガンガン』』』
何十人ものドワーフ達が一心不乱に鉄を叩き続けている。




