異世界のアフレクションネクロマンサー169
「お借りします」
手渡されたフードローブを受け取り、リーフに習うように羽織ると、
「結構厚手の生地で出来ているんですね」
何と言うのか、冬物のパジャマを着るかのような肌触りと重さがある。
しっかりと感じるフードローブは、外で寝るのに寝袋の代用としてなら使えそうであったが、
「それじゃあ、鍛冶場に行きましょう」
「この格好でですか?」
このゴワゴワとしたフードローブを着てというのは遠慮したかった。
厚手の服を羽織って動きにくいというのもそうだが、現段階で体温が籠るような熱を感じる。
今はまだ、羽織ったばかりだから問題は無いが、この服を長時間に渡って羽織るとなると……
「それでしたら、力の練習を兼ねて……」
礼人はフードローブを脱いで、霊力とマナの力を使って対処するというのを提案しよとしたが、
「ダメです。これを羽織るのがルールですから」
フードローブの下から手を入れられて、手を握られてしまい、
「それじゃ行って来ます」
「行ってらっしゃいませ」
フードローブを返す暇も無く、外へと連れ出されてしまうのであった。
外へと連れ出されてイの一番に思ったのが、外の風を一切感じられない通気性の悪さ。
鍛冶場というのが熱い場所というのは分かっているし、砂漠の民が長袖の服を着る事で熱から身を守るという理屈と同じだというのだろうが、
「鍛冶場に行くだけにしても、少し大げさ過ぎませんか?」
鍛冶場で霊刀を打った事があるからこそ、ここまで着込む必要は無いのではと思ってしまう。
エルフがオークに比べて、身体的に弱いからこの様な服装を必要としているのかもしれないが、ちょっとやり過ぎな感じも否めない。
出来たら、フードローブをすぐにでも脱ぎたかったが、
「でしたら、鍛冶場に行ってから必要なければ脱ぎましょう」
「……そうですよね。我儘を言ってすみません」
リーフからの妥協案を聞かされて、自分がルールを捻じ曲げようと駄々をこねているのに気付く。




