異世界のアフレクションネクロマンサー166
鉄を叩く音と匂いが漂う鍛冶場。
目的の場所に付いて、そのまま鍛冶場の中に入るのかと思ったのだが、
「こちらへ」
鍛冶場に向かう前に、少し離れた所にある建物の方へと誘導される。
「ここは?」
リーフに誘導された方の建物からはを叩く音も匂いも漂わないが、
「姫、鍛冶場に御用ですか?」
そこには二人のドワーフが受付をしていた。
「二人分お願いします」
「かしこまりました…そちらの方は?」
「アフレクションネクロマンサー様です」
「普通ので大丈夫なのですか?」
カウンターから離れて言われるがままに準備をしようとしたドワーフだが、リーフの側に立つ、耳の短い少年に気付くと、足を止めて二度見する。
この街にアフレクションネクロマンサー様がいるという話は聞いていたが、実際に目の当りにすると戸惑ってしまう。
疑っているとかでは無いが、見た感じはエルフの少年と一緒ではあるが、逸話のように耳が短く独特な服装が……
「私の事は、少し変わったエルフだと思って貰えれば大丈夫です」
「これは…失礼を致しました」
街で広がっている噂を聞いていたからか、普通の少年と思いながらも彼に魅了されてしまっていた。
「すぐにお持ちしますので、お待ち下さい」
歳を取った良い大人なのに、乙女のようにアフレクションネクロマンサー様を見てしまった事に気恥ずかしいのか、一礼するとその場からそそくさと離れて、二人して奥へと何かを取りに行くのであった。
カウンターの前で残された二人は顔を見合わせて、
「アフレクションネクロマンサーって…みんなからしたら、伝説の存在なんでしたっけ?」
「私達はずっと側に居たので、アフレクションネクロマンサー様が現実にいる方だと分かっていますが、初めて会う者にとっては、夢の世界から現れた存在に思えて不思議なのでしょう」
ドワーフの二人が惚けていた顔を見て、アフレクションネクロマンサーが珍しい存在なのだと思い出すと、何だかこそばゆくなって笑顔がこぼれる。




