夢の中71
まばゆく輝く光から逃げようと背けていた視線を、自分達が命に変えても探さなければならなかった者がそこにいると確信する。
振り向いた瞬間にこの命が消えようとも、まばゆく光る方へと向くと、そこには先程とは打って変わった少年がいた。
光は少年を中心にして溢れ出す。
それはまるでマナが溢れ出る火山のように、それはまるでマナが放出する大樹のように、彼から光が溢れ出る。
我々は言わなければならない……アフレクションネクロマンサー様に、
「どうか…我々の話を……」
「喋るな!!」
我々の願いを届けなければならない。
____
何かを喋ろうとした敵の言葉を遮る。
何かを言おうとしているのは分かった……何故ならば、
「……もし…私の願いを聞いてくれるなら」
アニーは自分のエルフの命の源でもあるマナを司る器官を粉々にして、礼人の体の中で再び形成するという荒業をした結果、その代償として死を迎えることになった。
その今わの際にアニーは最後の最期で、
「彼らを救ってあげて欲しいんです……」
アニーにとって礼人達は大切で、二月を死なせたことは悔いる事ではあるが、
「…この世界の戦争が…もう一つの世界に……」
「…………………っ」
ただただ、もう一つの世界の争いが勝手にこっちの世界に来て、好き勝手やっていると思われては、ご先祖様が浮かばれない。
古い…おとぎ話の様に曖昧に紡がれた話では、どちらに火種があるのかは分からないが、
「アフレクションネクロマンサーになって下さいね…………!!」
「アニーッさんっ!!」
もっと沢山の事を伝えないといけなかった。
もっと時間はあると思っていた。
しかし現実は、ほんの少しの贈り物とお願い、そして最期に力を絞って声を上げる事しか許されなかった。




