異世界のアフレクションネクロマンサー152
「リーフ…さん?」
リーフの使っていた布団は甘い良い匂いがして、女の子を感じて心臓がドキッっと跳ね上がったが、
「怖いモノから…守ろうとしてくれているんですよね……」
彼女が抱きついて来たのが好意でなく、恐怖からなのだと理解すると、彼女の背中に手を回して赤子をあやすように背中を撫でてあげ、
「もちろんですよ…一度は命に変えて、守ってあげたじゃないですか」
布越しに、リーフの耳元に顔を寄せて囁く。
口で優しい事だけを言うのではなく、文字通り身を犠牲にしてでも守り抜いた事を口にする。
いざとなればみんなを見捨てて逃げると言ったが、選んだ選択は命に変えてみんなを守り抜く事。
「心配しないで。アナタの側に居るのは、弱き者達を助けるアフレクションネクロマンサーです……命ある限り、みんなを守り抜いてみせます」
礼人の優しい言葉は、濁りの無い誠実な言葉。
リーフは耳元で囁かれる言葉が、嘘偽りの無い言葉と知って、礼人をもっと自分の側に寄せるように抱いて、同じように礼人の耳元に口を近付け、
「私…怖いんです……みんなが死んでしまうのも……道具として死なされるのも怖いです……でも、もっと怖い事が来ると思うんです」
自分が感じている恐怖を、礼人に託す。
「もっと怖い事……?感じた事で良いんのです。教えて貰えませんか?」
礼人は、リーフの細長い耳に鼻を当てるように近付けて、何を怖く思っているのかを聞くが、
「アフレクションネクロマンサー様が考えているのは……きっと、一部分だけなんだと思います……もっと根深い問題があると思うんです」
「もっと根深い……」
具体的な事を言って貰えなかった。
抽象的ですら無く、もっと根深い問題があるというだけで、何の手掛かりも無いが、
「ありがとうございます……私は、まだ気付いていない事があるんですね?」
「うん……」
リーフの言葉を、礼人は何の疑いを持つことなく鵜呑みにするのであった。




