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アフレクションネクロマンサー 序章  作者: 歩道 進
夢の中
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夢の中70

足がすくんで立ち向かう事が出来ない。


光が近付くにつれて体が焼かれる。


視界が眩しくなる。


どうしようも出来ない……


そう思った時、体の中の者達でこの状況に耐えられなくなった者が鋼鉄の巨人から逃げ出してしまう。


この場から逃げ出した魂は何ら間違っていない。


鋼鉄の巨人は既に沈みゆく船、沈みゆく船から逃げ出すことを誰が責めることが出来るであろうか?


無に消えたくないと逃げ出した者達……一体誰なのかは分からなかったが、それならばそれで、この世界で浄化されて新たな肉体の魂の欠片になって欲しいと願ったが……


(そんな……)


この光の中で一つの魂として逃げ出すのは、荒波吹きすさぶ大海に身一つで逃げ出すようなものであった。


集合体として強くても、一つの魂としては虚弱な存在。


そんな魂がこの光を浴びてしまえば、一瞬のうちに消滅してしまうのは当たり前の話。


熱したフライパンに落とされた水滴のように、魂が霧になってそのまま消えてなくなる。


絶望的な状況。


近付く光に、体の表面が溶けて汗のように滴って消える。


この光に立ち向かうのは、太陽に向かって走り出すようなもの。


足を後ろに下げる。


立ち向かうとか、そういう話では無かった……逃げないといけなかった……例え逃げきれないとしても……


溶けていく体は先程までの屈強な体ではない。


我が身を守る重厚な鎧が、今では自分の体を重々しく拘束する憎たらしい重しになり、体が溶けて鋼鉄の巨人から、ただの背の高いだけの人になると鎧の重さに耐え切れずに雪の上に倒れた。


(逃げなければ……!!)


それは使命を果たす為に逃げ延びようとしているのか、無に消えるのが怖いから逃げ出そうとしているのか、自分自身でも分からなかったが、体を拘束するだけの邪魔な鎧を脱ぎ捨てて逃げ出そうとした時だった。


「何処へ行く……」


逃げ出そうとしていた自分達にか細いが、しっかりと聞こえる声が入って来た。


怒りを含んだ声が聞こえるが、それは仕方無い。


我々は敵なのだから……しかし、


「よくも…やってくれたな……」


我々の世界の言葉を喋っている。


「アフレクションネクロマンサーなんて夢…幻で……じいちゃんとアニーさんは死んだ……」


自分達に迫って来たのが何なのか分かった。


「自分達の世界で起きている問題を……この世界に持ち込もうとして……」


アフレクションネクロマンサー様だ___

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