夢の中7
「それで何があったんじゃ?」
アニーが手こずる相手……気を引き締めないと万が一があるかもしれない。
相手を目の前にする前に、事前に話を聞こうとしたが、
「あっ、いえ……御存知では無いのですか?」
「それはどういうことじゃ?」
「……実際にお会いした方がよろしいかと」
仲間は何故か歯切れの悪い返答をしてくる。
何か歯に物が詰まったような違和感を覚えながらも、言われるがままに弱い霊力を感じる所へと出向くと、アニーを中心に何かを取り囲んでいた。
一体何を取り囲んで?
そう思いながらもアニーに声を掛けようとしたが、
「これはどういうことですかね二月様?」
先にアニーの方から質問されてしまう。
「なんのことじゃ?」
二月には一切身に覚えのない話をされ、当惑しながらも皆を掻き分けてその中心にあるものを見ると、
「……じいちゃん」
そこには、ここ数年会うことが出来なかった礼人の姿があった。
娘からは家族と旅行するより友達と遊ぶ方が良いとか、お泊り会があるからと何らかの理由があり、そこに自分の忙しさが相まって礼人に会うことが出来無かった……
久方振りに会う礼人に二月が言葉を失ってしまったのは、過去の姿からの成長に感慨深くなっている訳ではない、礼人の体から霊力が溢れているから。
それは決して物語の中に出てくるような人物のように強い霊力ではなく、微力な、弱い霊力が溢れ出ている。
「じいちゃん……」
「……」
なぜこんな事になってしまったのか?礼人が霊力を手にした状態で生活したとなると、どれほど辛い目にあったか?そんなことを考えると言葉すら出ない。
礼人は親族である二月にすらどこか伏し目がちで、他人行儀で……まるで赤の他人にあったかのような態度を取る礼人。
そんな周りに対してよそよそしい礼人が、どうしてここに来たのか……その理由は、
「ばあちゃんが行きなさいって……」