異世界のアフレクションネクロマンサー140
「君の思っている通り、この街の事を誰よりも知っているのはベルガ達の方だ。しかし、本国と戦い、本国と話し合うとなった時、アフレクションネクロマンサー様である君とベルガ達、どちらが御旗として相応しいかは論じるまでも無い」
「…………」
その理論は、一切間違っていない。
リミィの反乱をしたインパクトが強かったのは、彼女が本国の者だったというのもあるかもしれないが、それだけでなく、彼女自身が御旗になったということ。
奥に引き籠って自分もいますよという、いるかどうかも分からない名前貸しのような状況にせず、戦場に立って声高らかに離反したと、反逆すると宣言したからこそ、インパクトを与えた。
その考え方をするなら、フレン亡き後に、ベルガ達の側にアフレクションネクロマンサー様がいてくれるという事実よりも、フレン亡き後に遺志を受け継いで、アフレクションネクロマンサー様が率いているという事実の方が価値が高い。
「二人も構わないな?その時が来たら、アフレクションネクロマンサー様の側で引き立て役になってくれ」
「異論は無い。それがこの街にとって一番良い答えだ」
「うむ。オークの身であるというだけで、我々は軽んじられてしまう」
礼人の返答を聞かず、ビレーとベルガもフレンの遺言に同意する。
礼人としては、そんな事を勝手に決められては困った話なのだが、
「……時間を下さい。その時になれば答えは出ます」
その提案を無碍に断るような事はしない。
もう一度言うが、フレンの言っている事には間違い無いのだ。
万が一、フレンが死んだとなれば、街を率いる者としてはベルガ達で申し分無いが、本国とやり合うというのなら役割が重すぎる。
その役目を果たせるとしたら、伝説の英雄、アフレクションネクロマンサーである礼人しかいない。
その事は礼人も、重々承知していて。
もしも、自分が見捨ててしまったら、街に残される選択肢は、本国に服従して戦争の道具として壊されるか、反乱して殺されるしか残らない。




