異世界のアフレクションネクロマンサー139
兵士となった彼等は、フレンの号令を元に、忠誠を示すかのように我先にと外へと向かう。
未来を求め、勝利を求めて、邁進する彼等は、フレン達から本当の事を告げられていないが、
「本当は何のために戦うかは言っていないが、根本である、みんなの未来の為にという真実には噓偽りは言っていない」
「その通りです。上っ面だけ良くして、真実を誤魔化す本国の方が外道です」
「戦場で助けが来ないのに、助けが来ると言って鼓舞するのと一緒だ……言って良い嘘もある」
嘘偽りと言っても、彼等を犠牲にする為の噓では無い、自分達が生き残る為の嘘。
彼等の熱意が無駄になる事は無い。
これで、みんなに戦争に行くという話をする問題は解決し、これから戦場に行くまでの時間を無駄にしないようにするだけなのだが、
「フレンさん、私はもう戻っても良いでしょうか?」
礼人は、ここで今日という一日を終わらせたいと願い出る。
「あぁ…遅くまで無理をさせてすまない……君がいてくれて良かった。私達だけでは、こうも上手くはいかなかった」
「そんな事は無いですよ。自分は話がスムーズに進むように潤滑油の役目をしただけで、私がいなくても上手くやってましたよ」
「それこそ、そんな事無いですよ……だ」
フレンと礼人は微笑み合い、
「先に失礼致します」
後の役目をフレンさん達に任せて、自分は講堂を後にしようとしたが、
「アフレクションネクロマンサー様」
「どうしました?」
背中を向けた自分に対して、フレンが呼び止めたので振り向くと、フレンはみんなが講堂から出て行ったのを確認してから、
「ビレーさん、ベルガ…しっかりと聞いていて欲しい……アフレクションネクロマンサー様、私の身に何かあったら、アナタがこの街の長になってくれ」
「それは駄目でしょ。ベルガさん達がいるんですよ?」
これが、最後になるかもしれないと遺言を言い出す。
ここで遺言を自分に託すということ自体は問題ではないのだが、この街を治める代表者になれというのは飛躍し過ぎている。
穏やかになっていた礼人の感覚がまた研ぎ澄まされて、フレンの事を睨み付けるが、
「聞いてくれ。我々は、本国に対して逆らうという意思は存在しなかったが、それを考えさせてくれるようになったのは、他の世界から来た君だ」
「真実を知った今なら、ビレーさんとベルガさんで十分に対応出来ます」
「対応が出来るのと、対抗が出来るのとでは話が違う」
フレンはもう、礼人を自分の後釜に決めたらしく、一歩も引こうとしない。




