夢の中69
自分の下へと近付く光。
小さく輝いていた光は、時間が経つごとに大きくまばゆくなっていく。
体がヒリヒリと痛み出す。
体の中の皆が恐怖で、
(立ち向かえ!!)
(一旦退け!!)
意思がバラバラになって意見を言い合う。
どうしたら良いのか、どうするべきなのか、各々の判断を声高らかにぶつけ合うが、
(我々はこの世から消えるのを覚悟しているはずだろう!!)
鋼鉄の巨人の統率をするモノが檄を飛ばす。
すると、体の中で騒いでいた者達が静かになる。
(危なかった……)
鋼鉄の巨人の体はあくまでも怨霊の塊、同じような恨み辛みで繋がっている存在。
結束力があるからこそ形を成すことが出来、その繋がりが消えれば糸を解くかのように崩れる。
体の崩壊は免れたものの、目の前から迫る光に対してどうするかを決めなければならない。
攻めるか、退くか?
ほんの少し考える暇があれば良かったが、
(体が痛む……)
吹き飛ばされた腕を再生したにも関わらず、ジクジクと疼くような痛みを感じる。
今は皆が落ち着いてくれてはいるが、この体のジクジクとする感覚が、身を焼くような感覚に変わる前に判断をしなければ、皆がまたパニックを起こして体が崩壊する。
例え間違った判断をしてしまったとしても、指針を示せば皆が動いてくれる。
(……皆、覚悟を決めるぞ!!)
それは何となくではあった。
我々が怯えて逃げ出そうと、この光は決して見逃してくれない、我々を永遠に追い掛け回すであろうと。
決意を決めた。
いまだ治らない腕で無理を押して、鋼鉄の足を踏み出し立ち向かう……っているつもりが、足が動かない。
アフレクションネクロマンサーの遺した古の秘術……一度は死んで肉体を滅ぼした者の魂を形成する秘術。
話によれば魂は次に死ぬという事は、魂が浄化されて欠片になって新たな肉体に宿ることも無ければ、世界に還る事すら許されずに無に消えるという……
誰もが経験したことのない無に消えるということ……それを恐ろしいと思っていて、その恐ろしい事が出来る者が眼前に迫って来る。




