異世界のアフレクションネクロマンサー136
みんな、本国に逆らえないのは分かってくれていて、本国からの嫌味をフレンが一身に背負っているのを知っているから、文句を言う者等おらず、今すぐ戦場に向かうと言っても、それでも着いて来てくれるだろう。
「フレン様!!ベルガ様!!」
「何があったんですか?」
講堂に行こうとしていた者の中に、自分達に気付いた者達が、真っ先にこっちへと慕って寄って来てくれる。
「すまない、みんな……講堂に着いてから話す」
決してみんなを騙すとかではないが、自分を慕ってくれる彼等に罪悪感を感じざるを得ない。
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こうして、夜の安息の時間に響いた鐘の音によって、街中の者達が講堂に集まり、部隊の代表者が中に入ると、それ以外の者は何があったのかをすぐに聞く為に外で待つ。
講堂の外のガヤガヤとした声が、講堂の中にまで聞こえて来るが、そんな声等気に留める事も無く、
「仕方ありません。フレン様」
「戦場に行ける者と食料の確認をしておきます」
「武器と防具は……作れるだけ作って、その都度送ります」
「頼む」
聞かされた重大な話に、神妙な顔で話し合う。
最初、再度戦場に行く事を聞かされた者達は息を飲み、この話をどう受け止めようか苦しんだが、
「皆さん!!これはチャンスなのです!!あの化け物を使って来たというのは、あっちとしても勝負を仕掛けたという証拠です!!その勝負を仕掛けた切り札を、我々はどうしましたか?退けたじゃないですか!?」
ここで、英雄であるアフレクションネクロマンサー様が声高らかに、講堂の中にいる者達に響くように声を上げる。
「我々も多くの仲間を亡くし、怪我人が出て苦しい思いをしています……しかし、相手も切り札を失って苦しんでいるのです!!切り札を失ったあっちの軍など敵ではありません!!このチャンスで追撃を掛けるのです!!」
アフレクションネクロマンサー様の演説は、戦場に行こうと奮い立たせるものでは無く、再び戦場に行かないといけない現実を飲み込ませる為の潤滑油。




