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アフレクションネクロマンサー 序章  作者: 歩道 進
異世界のアフレクションネクロマンサー
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異世界のアフレクションネクロマンサー135

鐘の音に共鳴する体。


それは決して例えとか、比喩をしているのではない。


(何で共鳴しているんだ?)


あの戦いで水晶化してしまった左眼を中心に、体の中に鐘の音が響く。


そこに痛みとか苦しみがあるとかではないのだが、 


(なんだろう…この感覚?)


怯えている……?武者震い……?体が鐘の音に反応する。


震えているとは違う感覚に戸惑いつつ、左眼を抑えて共鳴を止めようとしていると、


「どうしたんだい?今日は休むかい?」


「えっ……」


心配そうにフレンが、自分の事を見ていた。


「今日は、君には心労を掛けてしまった。体調が悪いようなら、無理をしないでくれ」


どうやら、目を抑えているの見て、一日の無理が祟って体調が悪くなったのかと思われてしまったらしい。


「気になさらないで下さい、目にゴミが入ってしまって」


「そうか…無理なら無理だと言ってくれ」


自分の事を心配してくれるフレンには悪いが、体調が悪いかどうかで言えば、すこぶる体調は良く、問題は一切無いのだが、逆を言えば、体調が良いのにも関わらず、体がこの鐘の音に勝手に反応するのが不思議であった。


鐘の音に体が共鳴するのを止められないまま、外に出ると、


「あなた……」


「安心しなさい。これは集会の鐘だ」


「ちょっと行って来る。子供達を起こさないようにな」


「行ってらっしゃい……」


「鍛冶場に火を入れるように言っておいてくれ」


「はい」


家の中から次々とオークとエルフ、ドワーフ達がサキュバスに見送られて出て来る。


夜になって休息を取ろうとしていだろうに、皆、鐘が鳴ったという事が緊急事態だと分かっていてくれているのか、鐘の音が鳴った事に文句を言わない。


各々が、神妙な顔つきで一身に講堂に向かって行く様に、


「戦場に行くと伝える私は、不幸を呼ぶ死神かな……」


「フレン……」


「……冗談だよ」


何ともやるせない気持ちになる。


戦場から帰って来たら、しばらくは解放されるのに、まだ一週間位しか経っていない。


それなのに、みんなに戦場におもむく事になったのを伝えないといけない事を言うのは、死刑宣告をするような気持ちになってしまう。

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