異世界のアフレクションネクロマンサー130
「んっ?あぁ…最終決戦……そう言ったのか」
ビレーは「最終決戦」という言葉を無意識に発したらしく、どこか他人事かのようにしているが、
「その感性は大事だと思います。長年の戦士としての勘は、戦いにおいては自分何かと比べようが無い程に研ぎ澄まされているでしょうから」
歴戦の勇士であるビレーが感じている戦いの終結の気配は、決して無視して良いものでは無い。
ビレーの勘が正しければ、ここから先は冷戦という休息の日々は来ない所か、下手をすれば今までの交代交代で戦っていたのすら取り止めにして、総動員で戦うという未来すら考えられる。
「だとしたら…俺達はどうしたら良いんだ……教えてくれフレン、アフレクションネクロマンサー様」
そうだ、ここまで推測出来たからと言っても、それは解決策にはならない。
一応、赤い液体を確保してニードゥス様に、エルフだけでなく他の者達も生きられるように、手立てを考えて貰えないかと思っていたが、
「それなんだがな……」
フレンは、その事を言い出せない。
本国との関係もあるフレンは、迫る現実をどこか感じないようにしていた為に、ここまで現状がひっ迫しているのを気付かずにいたが、こうしてベルガ達と向き合う事で、エルフでは無い者達に迫る状況が一刻も争う事を思い知らされ、現状を先延ばしするような考えを言うのは、この街の主君として無責任だと考え、他の案を模索しようとしたが、
「それに付いては、既に二人で話し合っています」
「本当かい?」
「一つは、私が鉄騎兵の元になる赤い液体を確保し、リミィのように兵士を作って、本国と対抗出来るように準備します。それと並行して本国のニードゥスさんに、赤い液体を手土産にして、皆さんが生きられる方法を模索して貰えないか伺います」
「ふむ……」
ここでも、礼人がフレンの代わりに話を進めるが、
(助かるよ……)
礼人から話を進めて貰えるのは、助けに船であった。
ここで、フレンの方からニードゥス様に話を伺う事を最初に言っていたら、それは悠長過ぎないかと問われ、その後に礼人が赤い液体を確保すると言っても、言い訳がましく捉えられていたかもしれない。
だからこそ、礼人が先に舟を出したのは良い判断であったのだが、
「だが、赤い液体……それは、本国に渡す事になるんだろ。良いのかそれをして?」
ベルガは、出された船に傷があるのを見逃さなかった。




