異世界のアフレクションネクロマンサー126
後から来たフレンと礼人も、二人と向き合う形で席に座ると、
「それで、さっきの「私達は殺されないと」っという話なのだが、本国で一体何があったんだ?」
「その事なんですが……」
早速、本題を切り出されてしまう。
誤魔化すつもりはないが、いきなり事の詳細を話すとなると、かなりの衝撃を与える事になる。
エルフである自分は生きられる可能性が明確に存在するが、オークであるベルガ達には現在において、その可能性は無い。
生きられる明と、死ぬ事を強要されている暗では、この話の重さは違って来る。
陽のあたる所から、影にいる相手に掛ける言葉を選ばなければ……
「少しお持ち頂けますか」
どうやって、事を伝えようか思案しようとした所で、アフレクションネクロマンサー様が話を止める。
「どうしたんだね?」
やっと四人だけになり、これから重大な話が出来る状況になったというのに、待ったを掛ける礼人に眉をひそめるが、
「人払いをしてくれているのは分かるのですが、念のために」
眉をひそめたフレンに臆することなく、手の平から光の蝶を生み出すと廊下に放つ。
「これは、なんだ?」
「蝶々?」
初めて光の蝶を見たフレンとベルガは、放たれた蝶の方を見て何事かと驚き、
「なぜ、これをするんだい?」
礼人と一緒にいたビレーは、これが周囲を警戒するための術だと知っているから、何故この街の中で警戒するようなマネをするのかと不思議がる。
礼人は、三人のうちビレーの表情を見て、ある事を確信すると口元を緩めるが、目付きは怖い程に吊り上がり、
「……あの蝶達がいれば、この部屋の近くに「鳥」が近付いても大丈夫だからです」
「鳥?」
「こんな所に鳥なんていないぞ?」
「アフレクションネクロマンサー!!」
「安心して下さい。少なくとも、この近くには人や変なマナを感じたりしてませんよ」
礼人の発言はビレーとベルガを、何を言っているのかとポカーンとさせるが、それとは対照的にフレンには大声を張り上げさせた。




