異世界のアフレクションネクロマンサー122
「リーフ?」
静かに、驚かさないようにゆっくりと開けたドアの先には、耳を塞いでうずくまっているリーフがいる。
とても辛い想いをしたのか、籠の床が落ちた涙で濡れていて、
「……」
「……」
側にいるフレンに目線だけで「どうした?」っと聞くが、フレンもアフレクションネクロマンサー様と同じように首を横に振るだけで何も答えず、後は頼みますと言わんばかりにフレンも籠から降りてしまう。
早々に泣いている娘を置いて、籠から降りたフレンを尻目に見て、
(可哀想に……)
泣いている自分の娘一人を慰められない何てとは言わない。
家族に向けるはずだった愛を街の人々に注ぎ、家族に向けるはずだった時間を街の人々の為に使い、
妻すらも街を守るために戦った英雄として捧げる形になってしまった。
家族として生活するのに沢山の物を捧げて、それでも尚、捧げ続けないといけないフレンは可哀想であり、まだ子供であるリーフが、その犠牲になる事も可哀想に思う。
「リーフや……どうしたんだね?」
「お…じい様……」
ビレーの太い声は母のように繊細では無いが、おおらかで穏やかな声で、
「な…んで……」
「さぁ、じぃじに言ってごらん。全部聞いてあげるから」
リーフの頭を撫でる大きな手は、まるで野球のグローブのようで、母の絹のような柔らかさは無いが、包み込む安心感があって、
「なんで…なんで……!!私達は殺されないといけないんですか!!」
「殺される?」
母とは似ても似つかない物しか持たないが、それでも母と同じ愛を捧げ、頭を撫でていた自分の手を握り、顔を押し付けて泣くリーフに困惑しながらも、フレン達の為に母を演じるのであった。
「……」
「……滑稽だろ。父がいるのに何も出来ないのだから」
まるで、本当の家族のような光景にフレンの心が痛まないはずも無く、この情けない光景をマジマジと見られているのが嫌で、自分は情けないと同じような事をまた言ってしまうが、
「……違いますよ。この光景を滑稽だと思って見ているんじゃなくて……羨ましくて、見てるんです」
「羨ましい?」
彼の慰めでは無い言葉に、少し心が揺れる。




