異世界のアフレクションネクロマンサー119
「一日での送迎は大変であっただろうに、良く頑張ってくれた」
「いえ、フレン様をお運びする名誉ある務めを、他の者に譲れませんから」
早朝には塔まで必死に走り、帰る時も休む事無くはり続けてヘトヘトになって、街に戻って休んでいれば、突如、空に上がった迎えを寄こせと言う知らせに、慌てて迎えに来てくれたのだ。
その事を考えれば、ベルガが仲間内で褒め称えるのが大仰では無いのが分かる。
「籠は明日にでも片付ければ良い、皆はこのまま帰って構わないぞ」
「それでは、お言葉に甘えて」
御頭達は軽く一礼すると、籠を置いたまま帰って行く。
「さてと……」
労いの言葉を掛け、早々に御頭達を帰らせたのは、彼等が一日中働きづめだったから早く家に帰らせて、ゆっくりさせてあげたいという気持ちがあるのも事実だが、本当なら本国で、数日掛けてネチネチと嫌味を言われるはずだったフレン達が、日が変わる前に帰って来たのが解せなかったから。
こんなにも早く帰って来れるという事は、何かがあったのではと思い、御頭達には悪いが人払いをさせて貰って、
「フレン、何があったんだ?」
「ベルガ、すまないがビレーさんはいらっしゃるかい?」
「オヤジ?オヤジは来てないが……ドアを開けるぞ」
籠のドア開けると、そこには耳を塞いでうずくまっているリーフがいた。
「リーフ?どうした?」
「……」
どうやら何かあったのではという考えは正解だったらしく、万が一にも、この様子を見られないようにドアを閉めてから、
「医者は良いのか?」
「あぁ、ビレーさんを頼む」
「分かった、オヤジを呼んで来るよ」
「すまない」
パッっと見た感じ、怪我をしている様子も無かったので、ベルガはビレーを呼びに行くのであった。
結局、街に戻って来ても塞ぎ込んでいるリーフを見て、
「父親失格だな」
塞ぎ込んだリーフを慰める役目を、ビレーさんにお願いしなければならない自分が情けなかった。




